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イラク人道復興支援活動に派遣される自衛官を激励する決議(案)反対討論

 議員発議案第10号 イラク人道復興支援活動に派遣される自衛官を激励する決議(案)に反対する立場から討論を行います。

都城は昔から軍の駐屯地がありまた、軍馬や木刀、大弓の産地でもあります。特別攻撃隊の基地もありました。毎年行われる特攻戦没者慰霊祭にも欠かさず参加しています。
私の周りにも自衛隊関係者が多数います。

 危険なことに立ち向かう者に対して、その無事帰宅・帰国を願うことは、人間の尋常な心の流れとして当然のことであります。
 しかし、今回の決議(案)は、「イラクへ派遣される自衛官に対して、感謝と激励を申し上げる」とうたっています。「感謝と激励」、それはまるで、駅頭で小旗を振って「バンザイ、バンザイ」と叫んで出征兵士を見送った、あの戦前の光景を思い出させます。

 また、この決議(案)には、「エネルギー供給の大半を中東に依存している我が国にとって、イラクの一日も早い復興が強く望まれる」とあります。イラク国民が多くの血を流していることに、嘆息することなく、一顧だにしないことは、我が国の利益を優先する本音が見え透いています。憲法前文で「名誉ある地位を占めたい」と誓った品格ある国家として恥ずべきことではないでしょうか。

 もともとこの戦争は、大義のない戦争でした。核兵器や、生物兵器など大量破壊兵器を持っているという前提のもとに引き起こされたこの戦争は、今となっては、イラク国内に大量破壊兵器は存在しないことをアメリカの調査団自らが発表しています。パウエル前国務長官ですら、ABCテレビのインタビューで、フセイン政権打倒の軍事攻撃を正当化した、2003年2月の国連安全保障理事会での演説について、人生の「汚点」だとまで語り、自らを恥じています。
 また、同調査団は,旧フセイン政権から、テロ組織への兵器や情報の供与、さらにはアメリカ同時多発テロ事件の関係についても証拠はないと結論づけています。今日、スペイン、イギリスなどで地下鉄がテロによって爆破されるなど、かえって国際的にテロを誘発したことは残念なことであります。世界がテロの恐怖におびえています。
 しかも、自衛隊の派遣先は「非戦闘地域」という前提さえ壊れています。「バクダッド」はもちろんのこと南部「サマワ」でも、治安が悪化してきていることは周知の事実です。今や、いくら人道支援と叫んでも、自衛隊はイラク人からすれば、アメリカと同じ侵略者だとしか見えない状況になろうとしているのではないでしょうか。
 アメリカ本国ですら、息子をこの戦争で亡くされた母親、シーハンさんを支援する反戦運動の高まり、ブッシュ大統領自身の支持率の低下、スペインは既に多国籍軍を離れ、イギリスですら南部「サマワ」から撤退しようとしています。

  そもそも、自衛隊をイラクに派遣させるという2003年7月26日に成立した「イラク復興支援特別措置法」は、国論を2分した政治の産物であります。憲法にも抵触するおそれがあるにもかかわらず、自衛隊の多国籍軍参加を強行したことは、法治国家として許されるものではありません。
 その政治の誤りを見ずして、自衛官の身を挺した労苦に対する「感謝と激励」でごまかしてはなりません。
 知覧飛行場で散った特攻隊員の中には、その出撃の前夜、毛布にくるまったその毛布が、「ガタガタ」とふるえていたともいいます。
 政治の誤りを純真な特攻隊員に負わせてはならなかったのです。

同じように政治の誤りを、今、自衛隊隊員に負わせてはなりません。
もはや無法な戦闘行為を続ける米軍と同じ立場に自衛隊を置き続けることはできません。
 自衛隊の無事帰国を願うのは当然のことであります。自衛隊を即刻イラクから撤退させることが、宮崎県民として、真に願うことであり、私たちの本意ではないでしょうか。

 もう一度申し上げます。政治の誤りを、今、自衛隊隊員に負わせてはなりません。

以上、議員みなさまの積極的な、ご賛同を切にお願いし、社民党県議団を代表して反対討論といたします。


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