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議案第9号「宮崎県知事の任期の期数に関する条例」反対討論

 知事の公約で大きな焦点となっていた2つの公約が今議会に提案されました。
 一つは女性副知事の登用です。三宅知事の辞表提出に伴う後任人事として人事案件が提案され実現の運びとなりました。

 三宅副知事には2年間という短い間ではありましたが本県の発展、福祉の向上に大きく貢献いただきました。おかげで全国植樹祭、全国野鳥のつどいなど大きなイベントもつつがなく成功裏に終わることができました。また、今回の台風14号の被害にあたった被災地にも先頭に立って災害調査をいただき被災者のみなさんや県や市町村の担当者に温かいお見舞いや激励をいただきました。総務省に帰られましてもご自愛の上宮崎での経験を生かし、さらなるご活躍をご期待申し上げています。
 新しく副知事に就任される坂氏には女性としての視点を生かし歴代の副知事同様ご活躍をご期待申し上げております。

 さて、「宮崎県知事の任期の期数に関する条例」いわゆる多選自粛条例についてであります。 
 社民党県議団としては、安藤知事だけを対象とするこの条例に違和感を感じています。
1.連続3期当選を前提にこの条例がつくられていることに疑義を申し上げたい。おこがましい印象をまず受けます。
2.安藤知事個人だけを対象にするのであれば本会議で「連続4期はしません」と答弁すれば、県民に対して約束したことになり条例までつくる必要性はないと考えます。 3.この条例を県議会が可決すれば、県民は県議会の総意において安藤知事の3期を認めたと認識しかねない可能性があります。
4.この条例を県議会が可決すれば 、県民は県議会の総意において多選は望ましくないと結論づけたと認識しかねない可能性があります。
5.この条例が安藤知事だけに限定しているものの、後任の知事も、また県民もこの条例を意識せざるを得ず結果的に後生までこの条例は生きることになりはしないのでしょうか。また、市町村長まで影響が及ぶ可能性もあります。
6.3期に限定していいのでしょうか。もし3期満了前に未曾有の大災害でも起こった場合に「3期条例」により辞めます、となって良いのでしょうか。無責任な対応になる可能性があります。

 かつて、秋田県では、平成9年に行われた知事選に当選した寺田知事の公約に基づき、知事の「多選禁止条例」の制定が検討されました。ところが、この動きに対し当時の自治省が「法の下の平等や職業選択の自由などの点から憲法上疑義がある」という見解を示したことなどにより、条例案の提出を断念した経緯があります。しかし、平成11年には自治省の「首長の多選見直し問題調査研究会」は、「多選禁止が憲法上許される可能性があり、国民の間で十分な論議が必要だ」とする報告書をまとめています。国会審議においては、平成13年11月27日の衆議院総務委員会で山名靖英・総務大臣政務官は、「公職選挙法にはそのような規定はなく、条例によって多選を禁止する規定を設けることはできない」との認識を示しています。
 判例・学説においては、その根拠は一定しないものの、立候補をするという意味での被選挙権は、基本的人権の一つと解すべきとされています。
 したがって、これを規制する立法は、その可否を含め、相当慎重に検討されなければならないと考えられます。

 今回提案されたこの条例案はこれらのことも勘案し「多選禁止」ではなく「多選自粛」という表現になっているのだと考えます。しかし、憲法や公職選挙法に抵触しかねない「多選禁止」でなく、たとえ「多選自粛」の努力規定であっても望ましい条例ではないと考えます。この場合、「多選禁止」ではなく「多選自粛」という表現にしても期待される効果は同じだからです。

 そもそも安藤知事は、「知事職は県政執行の最高責任者で多くの権限が集中している。同一人物が長期にわたり勤めるとよどみが生じるおそれがあるので自らを律するために条例を制定し、より明確な形で県民に示したい」とその必要性をこの議会でも答弁されています。確かに多選による弊害・よどみもないとはいえません。
 しかし、それは首長の自覚次第で・努力次第であります。ここまで多選の弊害を認識されている安藤知事ですからその弊害は起こり得ないとも思います。知事は4年ごとに県民の審判を受けます。県民の信任を受ければ4期でも5期でも知事職はできるわけです。それでも知事自身の信念に基づいて3期で辞めたいのであれば4期目は自分の意志で立候補しなければ良いだけのことです。

 知事自身、就任式を終えた後の記者会見で、条例の実現の見通しを聞かれ「議会でこの条例が通らなければ、自分がそうすればよいことだ。」と答えておられます。

 社民党県議団として 議案第9号「宮崎県知事の任期の期数に関する条例」に反対の理由を明らかにして反対討論を終わります。

 議員諸氏の賛同をお願いします。


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