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2002年6月定例議会一般質問 2002年6月24日

学校における読書推進施策、学校図書館の充実について
住民基本台帳ネットワークシステムについて
SNA公的支援について 反対討論(2002年7月1日)

まず初めに、学校における読書推進施策、学校図書館の充実についてお伺いします。
 みなさんは、「サン・ジョルディの日」をご存じでしょうか。
 私は、県議会海外行政視察団の一員として一月下旬からヨーロッパ各国を回ってきました。その視察先の一つ、スペインの第二の都市バルセロナでは主に都市計画について見聞を広めることができました。
 紀元前より地中海貿易の拠点として大いに発展し、現在人口は171万。今日ではスペインの商工業地帯の中心です。そして、忘れてはならないのが、スペインには地方単位の自治政府が17ある中で、カタルーニャ自治州の首都でもあるということです。
 さて、そのカタルーニャ地方には、殉教した守護聖人サン・ジョルディを祀り、女性は男性に本を、男性は女性に赤いバラを贈る風習があるのだそうです。そして、その日が「4月23日サン・ジョルディの日」なのです。またこの日は、『ドンキホーテ』で有名な作家セルバンテスの命日であり、さらにシェイクスピアの誕生日でもあり命日でもあるという、文学に非常に縁の深い日なのだそうです。
 日本では、日本書店商業組合連合会と日本カタルーニャ友好親善協会が中心になり、昭和61年より読書推進運動として展開。平成7年11月には、ユネスコ総会にて4月23日を「世界 本の日」とすることが決まりました。さらに、昨年12月には、わが国でも「子どもの読書活動の推進に関する法律」が施行され、この法律の中で4月23日「サン・ジョルディの日」が「子ども読書の日」として制定されました。

 私が小学校の頃は図書室に通いよく本を読んでいました。調査では本を読む小学生は右肩上がりで増えているが、その子供たちも中学校に入るとガタンと落ちる。全く本を読まない高校生が7割にもあがっているのだそうです。

 この法律「子どもの読書活動の推進に関する法律」の基本理念として、「子どもが、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付け」「すべての子どもがあらゆる機会とあらゆる場所において自主的に読書活動を行うことができるよう、積極的にそのための環境の整備を推進されなければならない。」(第2条)ことを掲げています。これを具体化するために、国と地方公共団体の責務として「子どもの読書活動の推進に関する施策の策定と実施」(第3条、4条)をあげ、保護者の役割(第6条)もかかげています。さらに、この施策を実施するために、国には「子ども読書活動推進基本計画」を、地方公共団体には「子ども読書活動推進計画」の策定を定めています。そのために必要な財政措置を講ずることが義務付けられている点が注目されます。

この法律の成立を受け、昨年度より国による新たな学校図書館図書整備の5か年計画がはじまりました。国は平成5年に「学校図書館図書標準」を制定し、「学校図書館図書整備新5か年計画」で総額約500億円を地方交付税措置し、蔵書を1.5倍にする充実施策を実施しました。
 しかし、この標準に達した学校図書館は少なく、この法律の制定を機に新たな5か年計画により図書の充実を図ることにしたものです。
 この施策は小・中学校の学校図書館図書整備費として総額約650億円を5年間にわたって地方交付税措置するもので、毎年約130億円ずつ措置されます。今年度は、小学校1学級当たり約23,200円、中学校1学級当たり約44,700円、特殊教育諸学校1学級当たり約4,390円になります。従来の図書費にさらに上乗せされることになります。
 しかし、この図書整備費は、地方交付税で措置されたものですので、各自治体で自動的に図書の購入費になるわけではありません。今年度も約30%の自治体しか図書購入費に使っていないとの調査があります。

 21世紀の新しい教育は、高度情報通信社会において様々な資料・情報を活用する能力の育成が強く求められています。また、少子化・情報化・国際化など社会の変化が進展する中で、自分とは異なるものへの理解と寛容な心など豊かな人間性を育む教育の必要性が指摘されています。
 これからの学校図書館は、こうした新しい教育を推進するために欠くことのできない役割を担っていると思います。すなわち、学校図書館には、様々な資料・情報の活用を通して子どもたちの「自ら学ぶ力」=情報活用能力を育む活動の拠点、読書を通して子どもたちの豊かな人間性を育む活動の拠点としての役割が課せられているのです。
 今年度から、学校では新学習指導要領が実施され、完全学校週5日制のもとで「調べ学習」や「総合的な学習」など子どもたちが「自ら学び、自ら考える」教育が始まっています。しかし、公共図書館の設置率の低さ、学校図書館の貧しさなど、子どもの読書環境はまだまだ貧弱です。全国的に地域格差も広がっています。全国の町村の公共図書館の設置率は37.2%、本県での町村公共図書館設置はわずか8町村にすぎません。この現状では子供たちは学校図書館に頼るしかありませんので、まずは「子ども読書活動推進計画」の策定をしっかりと行うべきです。とりわけ今回、学校図書館図書整備のために用意された5年間で約650億円の交付税を全自治体で確実に予算化することが「子どもの読書活動推進法」の実体化の第1歩です。財源が用意されているわけですから、各市町村の「基本計画」にきちんと位置付け、長期計画で学校図書館の充実を図って欲しいものです。それぞれの県市町村ごとに、当面の課題を集約し、「基本計画」のなかに具体的に盛り込むことが重要です。抽象的・理念的な「計画」ではなしに、例えば「5年以内に児童図書館を設置する」「3年間で学校図書館の蔵書の倍増を図る」「5年を目途にすべての学校に司書教論を配置し、専任化、授業時間の軽減化を図る」といった具体的な計画を策定することが重要になります。

 このような状況を踏まえた上で、質問に入らせていただきます。

 1点目は、県教委として学校での一層の読書環境整備・充実に向け、どのように対応しているのか。また今後の施策、基本計画策定の状況について現状をお聞かせ下さい。

(答)
 現在、学校におきましては、朝の一斉読書や読んだ本を紹介するブックトーク、読み聞かせなどの読書活動を行っております。その成果として、子どもの読書量が増加するとともに、読書を楽しむ姿が見られるようになり、落ち着いた雰囲気の中で学校生活を送れるようになった、などの報告もみられます。
 県教育委員会としましても「読書の杜事業」を昨年度より実施しております。この事業では、県内3中学校区をモデル地域に指定し、小・中・県立学校が連携した読書指導や学校・家庭・地域社会が一体となった読書活動を推進しております。
 今後、モデル地域の成果を、他の学校に広げるとともに、推進計画策定にも、活かしてまいりたいと考えております。

 2点目は、全国的には新5カ年計画の予算措置は、交付税基準を大きく下回っているようであり、基準額100%予算措置している自治体は30%とのことです。全国学校図書館協議会の調査によれば、小学校1校あたり年間図書館予算が1万円のところ、3−4万円の市町村もあるそうです。
本県の実態を市町村格差の現状等も含めてお聞かせ下さい。また、学校ごとの図書購入予算額についても併せてお願いします。

(答)
 公立小・中学校における学校図書館の予算措置につきましては、学校規模や蔵書達成率の違い、学校の新設、廃校など、市町村の実情により、その多少を、一概に比較できませんが、平成11年度の調査によりますと、1校当たりの図書等購入費は、小学校で、5万円から100万円、中学校で、3万円から180万円までの、幅があります。

 3点目は、完全週5日制実施の中で、「読書の推進施策」をどう位置付けているのか。県教委の考え方をお聞かせ下さい。

(答)
 完全学校週5日制の実施に伴い、公立図書館や、公民館などの図書室では、読み聞かせや読書会、調べ学習に役立つ本の展示などを行っております。また、指導員やボランティアなどの人的配置を行い、積極的に施設を開放して、子どもたちの読書活動を支援しているところもあります。2さらに、県と全市町村で組織している「宮崎県公共図書館連絡協議会」では、子どもたちの休業日の活動を支援するための図書館の在り方についても協議し、子ども図書室や学習室の充実など、子どもの読書環境づくりに努めております。
 今後とも、市町村や関係団体との連携・協力を図りながら、子どもたちの読書活動を推進する支援体制づくりに努めてまいります。

 4点目は、「学校図書館図書標準」に対する整備状況についてですが、県内市町村の達成状況及び私費負担図書購入費(PTA)の実態についてお尋ねします。

(答)
 学校図書館につきましては、図書標準数からみますと、県全体の蔵書数は小・中学校とも、8割程度の達成状況であります。
 図書に関するPTA寄付金は、平成12年度では、県下の小学校の平均は、1校当たり約3万7千円、中学校では、約2万円と報告されております。

 5点目は、学校図書館のさらなる利活用についてです。来年度から司書教諭の配置が始まります。学校経営の中で図書館担当の位置づけがしっかりしてきますので大変望ましいことです。ただ、職務多忙のため十分に機能を発揮できない恐れがありますので、職務の軽減の配慮が必要だと思います。また、県立学校には学校図書館担当職員が制度上あり配置もされていますが、司書教諭の補助というか、人的配置が小学校中学校にも必要ではないでしょうか。現状は宮崎市のみ2時間の配置を行っているようです。5月8日付けの宮日新聞によると「千葉県袖ヶ浦市 すべての小中学校に読書指導員を配置」とあります。それによると「本好きの子供が確実に育ち、調べる学習の要にもなっている」とのことです。

(答)
 県立学校におきましては、従来から12学級以上の学校に図書館担当の事務職員を配置しています。しかしながら、小・中学校には県立学校と同様な職員を配置することは制度的に難しい状況でございます。そのため、小・中学校における平成15年度からの司書教論の配置に当たりましては、校内の協カ体制の確立を図り、図書館運営が円滑にできるよう指導してまいります。

(要望)
全国的には、昼休み時間に鍵がかかって利用できない図書館もあると聞きます。本県の学校図書館の利用状況はどのようになっているでしょうか。実態を把握していないのであれば、早急に実態調査をすべきだと思います。

 引き続きまして、住民基本台帳ネットワークシステムについてお伺いします。

 「牛は10桁、人間は11桁で生涯管理される」住基ネットの稼働延期を求める団体・個人はそのように表現しています。
 全国民に11ケタの住民票コード(番号)を割り当て、個人情報をコンピューターで一元管理する「住民基本台帳ネットワークシステム」通称「住基ネット」が8月5日から稼働されようとしています。
しかし、その前提条件である「個人情報保護法」には根本的欠陥があり、政府・与党も今国会成立を断念しています。また、民主党、自由党、共産党、社民党は8月からの稼働を延期、凍結する法案を共同提案しています。

 住基ネットの導入は、改正住民基本台帳法の成立(1999年8月)で決まりました。成立に当たっては旧与党3党は、参議院地方行政・警察委員会の委員長を民主党が占めていたため、委員会での採決を行わず本会議で採決し成立させるという強引な国会運営が行われた経緯があります。ちなみに、衆院では「安易な拡大を図らない」と付帯決議をしています。

 一方、民主党は、直後の99年秋の臨時国会、2000年の通常国会、さらに同年秋の臨時国会と、3回にわたり改正住基法の廃止法案を提出してきているが、いずれも審議未了のまま廃案になっています。
 
 住民基本台帳ネットワークシステムの利用範囲を大幅に拡大する電子政府関連法案が今月7日閣議決定し国会に提出されました。対象事務数が当初定められていた93から264に増えるだけでなく、国が利用できる事務数は全体の約6割を占めています。国の利用範囲が拡大され、国による個人情報の管理が一層進められた形になっています。

 日本弁護士連合会(日弁連)は今年4月20日に、「住民基本台帳ネットワークシステムの稼働の延期を求める意見書」を提出しています。
意見の趣旨は、1つ目は、8月から稼働する予定の住基ネットでは,個人情報の保護に関する懸念がなお払拭されていない。2つ目は、今国会に提出されている行政機関の保有する個人情報保護法等には重大な欠陥があり,現状の法案は大幅に修正されるべきである。3つ目は、市区町村の財団法人地方自治情報センターに対する各種コントロール権を法定した特別法を至急制定すべきである。4つ目は、これらの課題が解決していない段階で,住基ネットを稼働させることは,個人情報保護の観点からは重大な懸念がある。かかる懸念を無視して住基ネットの稼働を強行することは,平成11年の住民基本台帳法改正当時の政府の公約を反故にする暴挙であり,国民の政府に対する信頼を裏切るものである。
 したがって,8月からの住基ネットの稼働は,直ちに延期されるべきであるという内容のものです。

 また、日弁連は地方自治体に対し、アンケートも行っています。
 アンケート結果によると住基ネットが住民にとってメリットがあると考えている地方自治体は全体の19%にとどまっており、運営主体の地方自治体自身が、メリットをほとんど見いだせていないことが浮き彫りになっています。
 このアンケートは昨年11月、3247の全市区町村を対象に実施されており、回答を寄せた1837自治体(回収率57%)の回答は以下のとおりです。

 「メリットがある」との回答は、346自治体(回答全体の19%)。大多数が「住民にとって便利」を理由(複数回答)に挙げています。「デメリットの方が大きい」との回答は221自治体(同12%)。うち約7割が「住民のプライバシー侵害の危険性が高まる」ことを挙げています。「メリット、デメリットのどちらとも言えない」は60%、「分からない」は8%だったそうです。

 住基ネットの利用拡大については、「賛成」15%、「反対」7%、「どちらとも言えない」が64%で、自治体側の消極姿勢をうかがわせています。国の財政援助は、約8割が「足りない」との答え。今年8月稼働に向けた準備作業が「間に合う」と答えたのは約半数で、自治体に過重な負担となっている現状が浮き彫りになっています。
自由記載欄の自治体の声は消極ないし疑問の意見が圧倒的に多い。とりわけ町や村は圧倒的に「自治体に負担だけ大きくメリットが少ない」の意見となっています。

 町村担当者の自由意見の一部を紹介すると

●住基ネットは国の事務として明確にし、その経費に関しては、全額国の負担とすべきである。(現時点での費用対効果の面では市にとってメリットは無いに等しい、むしろ日常業務が増えるということのデメリットが大きいと感じている。)

●地方自治体の住民情報を集中管理できることによる国のメリットは大きいが、地方自治体のメリットは無いし、住民の利便性が高まることも期待できない。セキュリティが大丈夫か心配だ。

●住基ネットについて、メリットがあるのは、大都市や都道府県の中心都市部だけだと思う。それ以外の市町村は機器整備等の資金が大きな負担になると思う。本当に市民の為かどうかわからない。

●住基ネットの本人確認制度は、年金の現況確認等国にとってのメリットは大きいと思うが、住民側はあまりメリットはないと思う。(広域住民票交付制度の住民票には本籍等記載がないため、住民側の利用価値は低いと思う、また付記転出入の制度も現在の制度の中でも同様の手続を郵送で行える)自治体側も事務量が増加するのみで、住基ネットを利用した本人確認情報利用は、条例等の整備があるため、あまり大きなメリットはないと思う。

市町村からすると迷惑先晩 
 役場に行かないで自由に住民票が移せるようになれば、またどこでも住民票がとれるようになれば、年金、税、福祉サービスの連携がうまくいかなくなる。各種アンケートでも明らかになっているが、国のメリットは大きいが自治体のメリットは少ない。対投資効果があまりに低い。
「いまでも郵便で転出手続きはできる。多額の投資をしても、役場も住民もメリットが見えない」と担当者。

平成14年4月に日本弁護士連合会が「住民基本台帳ネットワークシステムの稼働の延期を求める意見書」を出したが、この意見書に対して、知事はどう受け止めるか。

(答)
 このシステムは、市町村が管理する住民基本台帳のネツトワーク化を図り、「氏名・生年月日・性別・住所」の4情報と住民票コード等により、全国共通の本人確認ができる仕組みであります。
 このシステムの活用によって、住民の方々にとっては、各種行政手続きでの住民票の添付が不要となるなどのメリットがあり、国・地方公共団体においては、行政事務の効率化を図ることができるものであります。お尋ねの日本弁護士連合会の意見書につきましては、システムの稼働に当たって、プライバシーの保護に十分考慮すべきとの趣旨であると理解しておりますが、このシステムでは、大切な個人情報を扱うこととなるため、本人確認情報の提供先や利用目的が法律等で具体的に限定されるとともに、民間部門での利用が禁止されるなど、住民基本台帳法に基づいて、十分な個人情報保護措置が講じられております。
 このシステムは、高度情報化社会に対応した電子政府・電子自治体を構築していくために必要な基盤の一つでありますので、県としましては、本年8月の稼働に向けて必要な体制整備を行うとともに、その運用に当たっては個人情報の保護に十分留意して、適切な対応を図ってまいりたいと考えております。

日本弁護士連合会が実施した住基ネットに関するアンケート結果の中で、市町村から消極的な意見が寄せられているが、総務部長はこのことをどう受け止めるか。

(答)
 このアンケート結果は、全国の約半数の市町村の回答をまとめたものでありますが、その内容をみますと、導入のメリット等について明確に回答をしている市町村もある一方で、「どちらとも言えない」との回答が6割を占めており、この調査が、準備段階の初期に実施されたものであり、本格的な稼働に至らなければ、その効果について十分な判断ができないとの市町村の意向が伺えるのではないかと考えております。
 また、アンケートでは、「電子政府・電子自治体の構築につながる基盤である」という積極意見がある中で、財源や安全管理等の面で消極的な意見もありますが、これらの意見に対しては、稼働が近づくにつれて、国における財源措置の明確化やシステム操作に対する相談体制の充実、さらには、詳細なセキュりティ基準の提示などの適切な対応が図られてきているところであります。
 このシステムは、本格稼働後の状況により、市町村や住民の方々から最終的な評価を受けることとなりますので、県としましては、システムの稼働に際し、適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
 
住民基本台帳ネツトワークシステムヘの対応費用について、これまでの県の支出費用、今年度の計上予算及び市町村の費用を伺いたい。

(答)
 まず、県の経費につきましては平成11年度から支出しており、その支出額は、11年度が168万6千円、12年度が4,188万4千円、13年度が8,664万9千円となっております。
 その内容は、ソフトウエアの開発等のために指定情報処理機関に支出する交付金のほか、13年度においては、機器のリース料や通信回線使用料などが含まれております。
 また、14年度当初予算額として、1億7,373万6千円を計上しておりますが、これは、13年度と同様の項目のほか、本人確認情報保護審議会に要する費用などであります。
 一方、市町村につきましては、平成13年度から支出しており、13年度は総額で約5億3,400万円、14年度は約3億2.7OO万円となっております。主な内容は、既存システムの改修費、機器のリ一ス料、住民票コードの通知費などであります。
 なお、これらの費用には交付税措置がなされております。

住民基本台帳ネットワークシステムにおいて、県の利用可能事務件数と具体例について伺いたい。また、このことから、メリツトとデメリットについてどう考えるか。

(答)
 本人確認情報を利用できる事務は、法の規定により限定されており、このうち、県で利用される事務は、(1)児童扶養手当の支給、(2)特別児童扶養手当の支給(3)退職年金の支給などとなっております。
 これらの事務の現在の年間処理件数については、児童扶養手当などの関係が約1万3.000件、退職年金の関係が約300件となっております。また、現在約3万件処理されている旅券の新規発給等の利用についても、国において検討されているところであります。
 このように、このシステムは、県をはじめ、国や市町村で活用されることにより、住民の方々にとっては、各種行政手続で住民票の写しの添付が不要となるなどのメリツトがあり、また、国・地方公共団体においては、行政事務の効率化を図ることができるなど、電子政府・電子自治体を実現するための基盤の一つであると考えております。

セキュリティ対策が最大の課題 流出が怖い 全国どこからでも見える。(情報通信技術者など)安全保障上 外国に漏れたら誰が責任をとるか。
「県民の情報は県が守る」との姿勢が必要。審議会設置だけでは不十分。県民の個人情報を保護できる条例の整備が必要である。その考えは。

(答)
次に、個人情報保護条例との関係についてであります。1個人情報の保護措置につきましては、住民基本台帳法に基づいて、まず、(1)本人確認情報の提供先や利用目的が具体的に限定されていることや(2)関係職員に対する「安全確保措置」及ぴ「秘密保持」が義務付けられていることなどの制度面の保護措置が講じられております。また、(1)外部からの不正侵入や情報漏えいを防止するために、専用回線でネツトワークを構築し、通信データの暗号化を行うことや(2)内部の不正を防止するために、ICカードやパスワード等による操作者の確認を行うことなどのシステム面の保護措置が講じられております。さらに、(1)情報管理のためのセキュリティ関連規程を策定するとともに、(2)指定情報処理機関や都道府県に「審議会」等の第三者機関を置くなどの運用面においても保護措置を行うこととされており、万全の措置が講じられております。2このように、住民基本台帳法自体で、十分な措置が講じられておりますが、大切な個人情報を扱うことから、御意見にもありますように、システムの運用に当たりましては、個人情報の保護について十分留意してまいりたいと考えております。

SNA公的支援について

 8億円の補助について、県民から「額の根拠が不透明」など疑問の声が上がっています。「支援は妥当」とする人の中にも、「SNAは事業計画を示してほしい」など、判断に不可欠な情報を望む声は少なくありません。経営破たんしたシーガイアに続く公金投入。県議会での論戦に県民の鋭い視線が集まっています。県議会では支援決議を行ったがその時点では『「県民の翼」として、県民のために、観光客のために安価な料金で就航したい。』そういう要請に応えたものでした。その時点ではまだ出資金や資金繰り、航空運賃、ダイヤ等について不明な時期であります。知事は、先の答弁で公的資金投入について「県議会の支援決議」や「県議会観光議員連盟の支援要望書」もあり、と答弁されていますが、支援決議は公的資金投入については触れていません。県庁が先頭に立って応援団の旗振りをしてくださいとの内容だと理解をしています。

まず、知事にお伺いします。現時点にあっても不明な点が多い。県やSNAから公開された情報が圧倒的に不足している現状では多くの県民が不満を持つのも当然だと思います。さらなる情報公開が県民の理解を得る最善の方法であり、またそれが公金投入する以上義務だと思います。それなしに事を進めると将来に禍根を残すことになりかねません。県内の倒産件数も高い不況の中、シーガイアの怒りが再発し、「もう知事も議会も信用しない」となりはしないか。公的資金投入による県民感情はかなり厳しいと感じる。県民に対する説明責任(アカンタビリティ)が不足していると思うが、知事は説明責任を果たしているとお考えか。

(答)
 県が、各種の施策・事業を実施するにあたり、県民の皆様の理解を得ていくことは、極めて大事なことであり、十分な説明を行う必要があると認識しております。
 スカイネットアジア航空への支援につきましても、今回御提案申し上げているところであり、県議会において、十分御審議をお願いしたいと考えております。

以下、企画調整部長にお尋ねします。
1.事業の継続性
  補助金支出の法律上の問題、公益性(地自法232条の2)の立証は「公共交通機関」だからクリアーできるとの見解のようですが、立証されたとしても事業の継続性は 担保されるのでしょうか。3年後、5年後に運行停止や廃業にでもなれば公的資金投入の前提は崩れてしまいます。
○資本金の目標25億円にほど遠い状況。その要因は。 

(答)
 これまで資金が思うように集まらなかったのは、投資家や金融機関が、スカイネットアジア航空の事業計画が国に認められるか否かを注視していたことが、主な原因ではないかと考えております。

○リゾート振興基金検討会議に提出された要望書には「多額の資金を必要としており、一定額は確保したもののなお多額の資金が必要」と明記されている。近い将来、資金ショートが起きる可能性はないのか。資金繰りの見通しはあるのか。

(答)
 スカイネットアジア航空では、国の事業許可を得た5月21日の段階で、今年度末までに、31億円の資金を必要とし、そのうち17億円が調達済であるとしております。2残る14億円については、6月末に5億円の増資を予定しており、不足分は、更なる増資や融資により、調達する計画だと聞いております。

○エアドゥとスカイマークエアラインズの就航時の資本金は同じく25億円余。どちらも巨額の累積赤字をかかえ。エアドゥは北海道融資38億円。エアドゥは安さを武器に初年度搭乗率82%だったが大手もすぐに追随し2年目69%、3年目64%に落ち込む。JALとJASの経営統合など大手3社も厳しい経営を強いられている現状。安さだけでは2年後、3年後の経営は厳しい。大手も生き残りをかけ必死である。黙ってはいないだろう。安売り合戦の体力勝負になるだろう。厳しい競争に勝ち残れるのは資本力の豊富な大手ではないのか。
 経営見通しは本当に大丈夫なのでしょうか。5年後には黒字にしたいとのSNAの説明だが今後5年間の収支計画書を示してほしい。

(答)
 スカイネットアジア航空では、就航初年度から4年間は、経常損益の赤字を見込んでおりますが、5年目には黒字に転換する見通しをたてております。
 具体的には、営業費用は2年目以降、ほぼ一定レベルでの推移を見込み、搭乗率を引き上げることにより、営業収入の増を図り、収支バランスの改善を見込む形となっております。3この事業計画については、国が事業許可を行うにあたり、十分審査したものであります。

関連してアシアナ航空 約1ヶ月運休 W杯の余波で韓国の定期便は地方路線でどこも厳しい状況のようだが、運休は宮崎のみ。アシアナ航空の再開の見通し、今後の展望についておたずねしたい。

(答)
 本定期便は、昨年4月に就航し、1年余りが経過したところでありますが、平成13年度の搭乗率は約70%と比較的順調に推移したところであります。
 しかしながら、5月31日からの日韓共催のワールドカップサッカーの影響により、ソウル市内の宿泊施設の値段が高謄し、これにより、旅行商品が通常の金額より2倍近くとなったことから、韓国旅行が敬遠され、予約率が伸び悩み、6月11日から7月7日の間、一時運休となったところであります。
 アシアナ航空の説明によりますと、6月の宮崎〜ソウル便の予約率は、5月30日現在で20%台前半ということで、その時点では他の路線の予約率に比べて一番厳しい状況であったとのことであります。47月9日の宮崎到着便から運航が再開される予定でありますが、運航再開後はこれまで以上にPRの実施等に努め、利用促進を図ってまいりたいと考えております。

2.低料金を実現して観光客誘致など県内経済向上にどのくらい効果があるのか。

(答)
 新規航空会社が参入した東京一福岡線、東京一札幌線においては、運賃低下により、両路線とも旅客数が全体として伸びております。このようなことから、宮崎一東京線においても、旅客の増加が見込めるものと考えております。
 観光客、ビジネス客の増加は、消費を通じて、県内の各産業への波及効果を生みますし、交流機会の増大によるビジネス機会の増大、コンベンション誘致や企業誘致を行う際の地理的な不利益の軽減など、目に見えない効果も相当あるものと考えております。

3.シーガイアの時は運転資金、今回は準備資金である。近年の厳しい経済環境を見るとき他企業との平等性はどう保つのか。不公平だ、特定の会社だけ支援するのはおかしい。うちの会社も銀行融資が途絶え、1,000万円あれば会社を畳むことこともないのだが、との声が聞こえてきます。

(答)
 地方自治法では、県は、公益上の必要がある場合には民問企業へも補助ができるわけでございますが、補助を行う際には、公益上の必要があるかどうかを十分に検討し、慎重に判断しているところであります。
 このたびの支援につきましても、便数の増加と航空運賃の低下による県民の利便性の向上や、本県産業の活性化などに極めて大きな効果が見込まれることから、公益上必要があると考え、決定したものであります。

4.「安全性の確保」が航空会社の最大の使命であるが、格安の航空運賃、他社より加重の労働環境で他社並の安全性を確保できるのか。

(答)
 航空運送事業における安全性の確保は、最も重要なことであり、それを直接ささえる従業員の労働環境については、適正なものとなるよう対応していると、会社から聞いております。
 更に、運航・整備に関わる従業員の勤務体制については、国土交通省が運航菅理施設等の検査において、実地に厳格な検査を行いますことから、安全性は確保されるものと認識いたしております。

5.8億円の積算根拠は?
  県の説明では8億円の根拠が乏しい。準備費用の1/2 実際のところは、8億円ありきではないのか。不足額14億円 6月末増資5億円 差し引き9億円足らない。これが根拠ではないのか。

(答)
 今回の支援は、就航準備が本格化した平成13年4月から平成14年7月までに要した経費のうち、航空運送事業を行う上で必要不可欠な経費16億円の2分の1の8億円を限度に補助することとしたものであります。

6.今後の支援は。
  県の説明では今後一切補助はしないとのことだが本当に考えていないのか。
アシアナ航空には、定期便利用促進補助金、国際定期便運行会社への補助があり、また、エアドゥには、北海道庁が航空機リース供託金相当額の低利融資、機体・機内広告費など本年度約20億円を投資。SNAにも形を変えた支援、機内広告補助などが考えられるが。

(答)
 今回の支援は、新規航空会社が多額の初期投資を必要とするので、その負担を軽減することで経営の安定につなげ、県民利益の実現を図ろうとするものであります。
 県としては、会社は、早期に運賃収入で運航経費をまかなう体制をつくるべきだと考えており、経営支援については、今回限りと考えております。
 なお、支援ということではありませんが、本県のいろいろな分野にわたるPRにつきましては、今後、同社とタイアップした事業も考えられると思われますので、県としましても十分連携を図ってまいりたいと考えております。

再質問

SNA問題キーワードは「低コスト」安全性と低コスト、採算性と低コスト。相反する課題。低コストを追求すると安全性が脅かされ、採算性が悪化する。
○東京より大阪便が多い。鹿児宮利用 一路線しかないSNA不利。激安パック21,800円(JAS 東急パック)がすでに現存するが知事はご存じか。

(答え)
存じ上げております。スカイネツトアジア航空は、(1)路線中最多の6往復の運航を行うこと(2)当日でも予約変更可能な安い運賃を設定すること(3)座席が広く快適性に優れていることなどの面で、大手航空会社より優位だと理解しております。
 また、宿泊パツクについても、ジヤイアンツキヤンプ応援ツアーといった、宮崎の特色を活かした商品を企画する予定で、営業努カ等により、事業計画どおりの集客は、可能であると考えております。

○6月末の増資5億円の達成見通し、担保はあるのか。

(答)
 会社からは、支援持株会による出資などにより、5億円の増資を行う見通しがついたと聞いております。

○900数十人の支援持株会員が10000名になるのはいつ頃達成できると考えているのか。

(答)
 会社といたしましては、支援持株会の会員が、そのまま利用者となる可能性が高いことから、その会員拡大が重要な課題であると認識しており、株主優待割引といった特典をPRしながら、積極的な勧誘に努めているところでございます。
 先週金曜日に、ダイヤや運賃が発表されましたことから、会員の拡大にはずみがつくものと考えております。

○安全性、採算性、事業の継続性の問いに、「国が適正と判断したから」の答弁に聞こえる。大手3者独占状態から、規制緩和により、条件が緩和され新規参入が可能になった。一定の条件が整えば許可せざるを得ない。「参入も撤退の自由」ということではないか。国土交通省の認可の条件に事業の継続性、事業の採算性が入っているのか。(国は許可したからといっても経営の責任は負わない。)

(答)
 国は、航空運送事業許可の手続きにおいて、申請者が、事業を適確に遂行するのに十分な能カを有するかどうかを審査しなければならず、事業計画が合理的かどうかも、審査基準とされています。
 従いまして、事業の継続性、採算性につきましても、その中で審査されたものと考えます。

○従業員と思われる人から労働基準局あて要望書がきている。「就業規則もない会社」となっています。信じがたいことですが、このことは事実なのでしょうか。従業員の就労実態をどのように把握されているのでしょうか。

(答)
 会社が、従業員の労働基本権に配慮することは当然であり、労務関係については、法令に基づき適切に対応していると、聞いております。
 また、就業規則については作成しており、社員が入社する際に、交付している旨聞いております。


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