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2001年11月定例議会一般質問

地産地消について
  BSE問題に対する消費者教育・風評被害対策
  地産地消運動の今後の展開
  食料自給率の現状と課題
  健康づくりと地産地消
  生活環境と地産地消
  食教育と地産地消
都城市の大島畠田遺跡について
  県の評価と今後の支援の在り方について

 はじめに地産地消についてであります。
 まず、BSE問題についてです。私はBSE問題に関しては、食と農を根本から見直す良い機会だと前向きに考えたいと思っています。
 いま先進国の畜産業は、配合飼料を畜産物に変える加工業になってしまっているのではないでしょうか。そこでは、自然の中での健康な生活と本来の食性を奪われた家畜が、薬潰けの状態です。肥育効率を上げるためにホルモン剤が投与され、伝染病が蔓延しないように抗生物質などの抗菌剤が多投され、その結果、肝炎や肝硬変などにかかる家畜が増えているとの報告も聞きます。
 そもそもBSEは、本来草食動物であるウシに肉骨粉を食べさせたことから起こったわけでありますから。BSE、口蹄疫が畜産効率化に最も成功したイギリスで発生したのは単なる偶然ではないと思います。
 狂牛病の発生が国内ではじめて確認されたのを受け、市場に出回る食用牛への全頭検査が始まりました。「世界で一番安全な体制になった」と武部勤農水相が安全を宣言しましたが、消費者の牛肉離れは止まらない状況です。影響は食肉、加工食品、流通、飲食業界に及び、なかでも畜産農家への打撃は深刻だろうと思います。売れ行き不振が長引けば、国内の畜産業は崩壊しかねないとの声も出ています。この事件は、危機が起こるまでは「問題ない」と言い張り、問題が発生すると泥縄的に対策を議論し始める日本の官僚たちが生んだ一種の人災であると農水省を非難する多くの声があがっています。
 驚くべき新聞記事があります。農水省の永村畜産部長は、発生が確認される四か月前に「国内侵入の危険性は限りなくゼロ」と『日本農業新聞』のインタビューに答えています(5月19日付)。BSEがドイツに波及してEU諸国で騒ぎが広がり、国内でも警戒する声が日増しに強くなっていたころです。熊澤事務次官も6月18日の記者会見で「日本の安全性は高い」と述べています。前日に報道された「日本にも狂牛病の可能性がある」とするEUの警告リポートに反論したものです。ヨーロッパで発生しているBSEの国内侵入に、消費者や畜産農家は不安に駆られていた時期であります。汚染された肉骨粉が危険であることは、かなりまえから政府内でも指摘されていました。
 しかし、この時点でも農水省は、肉骨粉の国内需要量40万トンのうち自給できる量は30万トン。残りは輸入せざるを得ないとしていました。国内産でしっかり賄う努力を惜しんだばかりにこのような大惨事となりました。発生が確認されてからの対応も滅茶苦茶でした。問題の乳牛について永村部長は「すぐに焼却処分された」と発表しましたが、実は飼料製造工場に運ばれ、飼料用の肉骨粉に加工されていました。しかも役人たちの連絡不備で、あわや出荷される寸前だったことが明らかになっています。
 さて、そう言った無責任な役人がいるかと思えば、全く同じ時期に朝日新聞のコラムに「地産地消で循環型社会を」と訴えた農水省の役人がいました。農林水産政策研究所長の篠原孝氏です。「国内侵入の危険性は限りなくゼロ」と無責任な畜産部長インタビュー記事のまえの日、5月18日です。私は、この記事を読んで持論の正しさを再認識し、意を強くしたところです。今回の一般質問で地産地消運動をぜひ取り上げたいと思い、県外視察にも行ってきました。そうこうしていたら9月10日のBSE疑似患畜確認発表です。さて、記事のなかで篠原所長は、配合飼料を畜産物に変える加工業、工場式畜産ではBSE発生の危険性があることを明確に指摘しています。「顔の見える範囲で作られた食べ物が最も安心でき、人間の健康にも地球の環境保全にも適している。地産地消に徹することが21世紀を生き抜く知恵だ」と結ばれています。篠原所長によると、「日本は金額ベースでは世界一の輸出大国であるが、重量ベースでは世界一の輸入大国である。98年輸入総量約7億トンに対し、輸出量は1億トンにすぎない。差し引き年間6億トンが国内に残る。これではいくら循環型社会と称し、いくつものリサイクル法を作ったところで根本的解決にはならない。このまま大量輸入が続けばゴミ捨て場がなくなるのも時間の問題」と指摘されています。さらに、食糧輸入の具体的な問題点として、「アメリカの中西部の大穀倉地帯から毎年大量の飼料穀物、すなわち窒素分が大量に流入している。南九州等の加工畜産県の土壌は窒素過多となり地下水も相当汚染される。循環を考えると穀物輸送船がふん尿を持ち帰ってアメリカの中西部の畑に返さないといけない」とまで篠原所長は述べています。まさにその通りです。
 しかし、それにしてもたった一頭の患畜が発見された時点で、これだけの大騒ぎとなりました。国の無責任な対応があらわになり、消費者の気持ちが分からないわけでもありませんが、消費者の肉離れも度を超しているように思われます。消費者の関心が「安全か安全でないか」だけに集中しているのはどうしたことでしょうか。和牛は売れないが、アメリカ産やオーストラリア産は売れる。乳牛と和牛の違いもわからない。特定危険部位にしかプリオンは存在しない。牛肉は安全な部位だから食べても安全ということを知らないのか。牛から牛には伝染しない、飛沫感染などしない、ということを消費者はどこまでを理解できているか。風評被害を押さえるためにも普段から消費者に正しい知識を普及することがどれだけ大切か痛切に感じます。

消費者はどこまでBSEについて理解しているのでしようか。私は、まだまだ消費者の理解度は浅いと思っています。風評被害対策は普段からの正しい知識の普及しかないと思います。BSEに対する消費者教育について、どう取り組んで行かれるつもりなのか、現状と併せ農政水産部長にお尋ねします。

(答)農政水産部長
風評被害を防止するための消費者対策の現状と今後の取り組みについてであります。
1BSEに対する風評被害を防止するためには、正確な情報の提供と安全性のPRにより、消費者に正しい判断をしていただくことが何より重要であると考えております。
2牛肉の安全性については、国際獣疫事務局(0IE)の基準で、脳、脊髄、眼、小腸遠位部を除く通常食される部分は安全であるとされております。
3また、10月18日以降は、と畜場に搬入される全ての牛についてのBSE検査が開始され、検査に合格した安全な牛肉のみが市場に出回る体制が確立されております。
4県といたしましては、このような情報を新聞、テレビ等メディアを活用した広報や、チラシ、ボスターの配布、さらに全国に先駆けたBSE検査合格シールの交付等により消費者に提供し、牛肉の安全性等の啓発活動に取り組んできたところであります。
5また、より良き宮崎牛づくり対策協講会によるフェアや各地域におけるイベント等も開催しており、今後とも、あらゆる機会を捉えて正確な情報の提供や安全性のPRなど消費者の不安の解消に関係部局とも連携を図りながら取り組んで参る所存でございます。

また生活環境部では、消費生活センター 安心できる消費生活の確保 かしこい消費者の育成等を所管され、安心・安全な「食の確保」を事業の柱に掲げられておられます。
BSEに対する消費者教育について、どう取り組んで行かれるつもりなのか、併せて生活環境部長にお尋ねいします。

(答)生活環境部長
消費者問題についてであります。
1今回のBSE問題に関しましては、国や所管部局などから、牛肉の検査体制や安全性などについての情報提供やPRが行われているところでありますが、消費者行政といたしましては、これらの情報を消費者に迅速・的確に提供することによって、消費生活の安定を図っていくことが、重要であろうと考えております。
2従いまして、消費生活センターに寄せられる、消費者からの問合せや相談に対しましては、これらの情報に基づいて対応するとともに、広報誌などにより情報の提供を行っているところであります。
3今後さらに、「一日消費者スクール」をはじめとした消費者啓発講座なども活用して、消費者の不安の解消に向けての取り組みを推進してまいりたいと考えております。

さて、我が国の食料自給率は、年々低下を続けており、平成11年度ではカロリーベースで 40%となっています。先進国では最低であり、またドイツ、イギリスなどは自給率を年々上げ100%に近づいています。これは我が国の国家戦略として、食糧を安全保障上、重要視せず経済原則だけで、工業生産と同じように農業生産の政策をとり続けた結末だと思います。労働集約型の典型である農業が、労働力の安い国々の農産物に勝つには大変なことです。コスト論でしか日本の食糧を捉えてこなかった官僚の失政であります。いままさにその失政の付けが、食生活の変化に伴う生活習慣病の急増、それに伴う医療費の高騰。生活環境の悪化。あるいは、過疎化の進行、切れる17歳の犯罪と、日本全体、あらゆる所に蔓延していると断言できます。

先ほど述べましたように、我が国の食料自給率は、ドイツ、イギリスと比較すると極めて低く、平成11年度にはカロリーべ一スで40%となっています。食料自給率の向上は、食糧安全保障のための戦略にとっても大きな問題だろうと思います。この現状についてどうお考えか、農政水産部長の見解をお尋ねします。

(答)農政水産部長
我が国の食料自給率の現状に対する認識についてであります。
1御案内のとおり、我が国は食料の多くを海外に依存しておりますが、今後、発展途上国を中心とした人口の増加や世界的な耕地の荒廃、淡水資源の不足等により、地球規模での食料需給の逼迫が懸念されている中で、我が国の食料自給率が先進国で最低水準にあることは、大変深刻な問題であると認識しております。
2国におきましては、「食料・農業・農村基本計画」を決定し、国内の農業生産の増大を図ることを基本に、食料自給率の向上に取り組むこととしており、現在、麦、大豆の生産拡大、日本型食生活の普及など新たな施策が進められております。
3県としましても、国の施策展開等も踏まえながら、我が国の食料供給基地としての役割を十分認識し、
野菜、大豆の生産拡大や家畜飼料の自給体制の整備など、本県の特性を活かした農産物の振興を図り、食料自給率の向上に貢献してまいりたいと考えております。

日本人の食生活を西洋化するというアメリカの長期戦略により、学校で脱脂粉乳のミルクとパン給食が始まります。その子ども達が大きくなる頃、1971年ハンバーガーがアメリカから上陸。若者の食生活が変わります。親子2代でパンを食べ始めた20年前から米余りが始まり、大腸がん、心臓病といった西洋に多い病気が増え始めます。あっという間に日本は、洋風の食生活に変わりました。農水省のホームページに日常の食事についての自給率が載っています。一般家庭の和風朝食の場合、国内食材の自給割合は60−80%と高いわけですが、洋風の朝食は15−25%と極端に低くなります。昼飯でスパゲティ定食だと10%、ラーメン定食だと8%というデータもあります。見事にアメリカの戦略が成功しました。当のアメリカは、がん、高血圧、心臓病などの生活習慣病予防のため日本型食生活を勧めています。健康のためにも、生活環境のためにも、過疎地区を活性化するためにも、明日を担うたくましい子ども達が育つためにも、日本本来の食生活・食文化の良さを見直す。私たちが食糧安全保障のための最高戦略は「地産地消」にあることがつぎつぎと明確になります。
さて「食生活指針」なるものを平成12年3月に、時の文部省、厚生省、農林水産省がそれぞれ決定しているようであります。本県の食生活改善・「地産地消」の取り組みはうまくいっているのでしょうか。農政水産、林務部、福祉保健部、生活環境部、教育委員会と各部に関係があると思いますが各部の連携はどうでしょうか。それぞれ関係部長にお尋ねします。

みやざきの食と農を考える県民会議の設立総会が7月23日あり、「地産地消」をテーマにみやざきの食と農を考えるシンポジュームも開催されたようであります。「地産地消推進期間」イベント開催や地産地消推進協力員募集、キャラクターのネーミング募集など盛りだくさんの内容が新聞広告にありました。

地産地消運動については「食と農を考える県民会講」を中心に推進していくこととされていますが、この県民会議はどのような位置付けなのか、また関係各部局との連携はどうなっているのか、農政水産部長にお尋ねします。

(答)農政水産部長
みやざきの食と農を考える県民会議の位置づけについてであります。
1県民会議は、消費者、食品関連事業者、生産者、マスコミ、行政など県内140の団体が参加し、本県の農林水産物の県民への安定的な供給と消費拡大や、健全な食生活指針の普及定着、本県の農林水産業の理解促進などを図ること等を目的に設立されたものであります。
2この県民会議におきましては、これらの運動を円滑かつ実効あるものとして展開するため、「地産地消」、「健全な食生活」並びに「食農教育」の3つの柱に各々部会等を設置しているところでありますが、いずれも、県庁各部局にまたがる様々な取組みを必要とする分野でございますので、関係各部局が各々の部会等に参加、協議しながら、一体的に取り組んでいるところであります。

地産地消運動の今後の展開についてどのようなビジョンを持っておられるのか、併せてお尋ねします。

(答)農政水産部長
次に、地産地消運動の今後の展開についてのビジョンであります。
1地産地消運動は、生産者の方々に消費者二一ズに応じた新鮮で安全な農林水産物を供給していただくとともに、
2一方では、県民の方々に本県の農林水産業が果たしている役割や本県の農林水産物の良さ、素晴らしさを理解し、利用していただくことを目的としているところであります。
3したがいまして、県といたしましては、生協・量販店等の産直コーナー設置やJAによる産直フェアの開催を支援するなど、本県の農林水産物の県内消費拡大に努めているところであります。
4また、シンポジウムの開催や、地産地消協力員の募集などにより、県民意識の啓発・高揚も図っているところであります。
5今後は、さらに消費者ニ一ズに合った農産物の生産体制の整備、朝どれや周年供給など供給・販売体制の整備等に、県民会議を核に関係者と連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。

福祉保健部では「健康みやざき行動計画21」が今年2月策定されています。
生活習慣病の発症や進行には、食生活や運動習慣などの生活習慣が深く関わっています。「健康はつくるもの」という視点に立った積極的な一次予防を推進するために、「栄養・食生活」に重点を置き、県民一人ひとりが健康づくりに取り組む際の実践指針、施策の方向と目標を示しています。

「健康みやざき行動計画21」における重点項目「栄養・食生活」と、「地産地消運動」とは連携して事業を進めるべきだと思いますが、福祉保健部長及び農政水産部長の見解を伺います。

(答)農政水産部長
次に、「健康みやざき行動計画21」との連携についてであります。
1「地産地消運動」は、地場産の新鮮な農産物の消費を通して、健全で豊かな食生活の実現をも目的としているものであり、その意味で、福祉保健部の「健康みやざき行動計画21」で目指している健全な食生活を通した健康づくりとも目的を一つにしていることから、福祉保健部と連携を図りながら、取り組んでいるところであります。
2今後とも、「地産地消運動」につきましては、関係部局及び団体と密接な連携を図りながら推進してまいりたいと考えております。

(答)福祉保健部長
「健康みやざき行動計画21」と「地産地消運動」の連携についてであります。
1「健康みやざき行動計画21」の「栄養・食生活」の分野は、食生活の改善をとおして健康づくりを進めるもので、農政水産部の「健全な食生活の普及定着」と目的が同じであることから共同して取り組んでおります。
2また、食生活改善の普及啓発にあたりましては、「地産地消運動」の考えを取り入れ、地元の農産物等を利用した料理の講習会を開催するなど、連携を図っているところであります。
3「健康みやざき行動計画21」につきましては、今後とも、農政水産部をはじめ、関係部局・関係団体と緊密な連携を図りながら、推進に努めてまいりたいと考えております。

次に生活環境部関連ですが、廃棄物・リサイクル事業の推進にも「地産地消」は大変有効だと考えます。地域で生産された農産物を地域で消費する運動が地域に根付けば生ゴミの処理のあり方についても関心が高まり、ゴミ減量化につながるものと思います。地産地消と廃棄物・リサイクル事業の推進について、生活環境部長の見解をお尋ねします。

(答)生活環境部長
地産地消と廃棄物・リサイクル事業についてであります。
1地域で生産された農産物を地域で消費し、そこで発生した残さ(生ごみ)をさらに地域の農業で肥料等として活用することは、廃棄物の減量化や資源の有効活用という観点から、有意義であると考えております。
2本県におきましても、綾町や国富町における、家庭系生ごみ等の堆肥化センター、南郷村の、家庭系生ごみの移動式堆肥化装置導入、さらに、都農町の、事業系生ごみの発酵処理・堆肥化の取り組みなどリサイクル面での様々な動きがございますので、生活環境部といたしましても、今後とも市町村や関係部局と連携しながら、情報の提供等に努め、このような取り組みの促進を図ってまいりたいと考えております。

林務関係であります。林務部長、県産材の利活用の推進も地産地消運動の一環です。県産材の県内消費拡大についてもさらなるご努力をお願いいたします。
つぎに学校給食における地産地消についてであります。
「地産地消」運動推進のために学校給食の地場産自給率の向上を一つの柱としては如何でしょうか。昔から「三つ子の魂百まで」といいます。食習慣は乳児期から始まると言われて三歳前後で身に付くそうであります。幼いときの習慣は長寿を全うするまで影響します。学校教育の三本柱である、「知育、体育、食育」のひとつである食育強化の立場からも「地産地消」推進が有効だと思います。
 21世紀農政の指針となる新農業基本法を検討してきた「食料・農業・農村基本問題調査会」は、平成10年9月「国民のための農政」への転換を提言する答申をまとめ、小渕首相に提出しました。
 その中で、食糧自給率の問題について「国民の健康を確保する観点から、望ましい食生活のあり方についての知識の普及や啓発、また児童や生徒に対する食教育などをおこないながら、食生活のあり方を消費者、関係団体、地方公共団体等々様々なレベルで見つめ直す国民的運動を展開すべきである」ということが明記されています。
この答申のなかで児童や生徒の「食教育」の必要性を指摘してます。
大変、当を得た指摘であります。しかし学校給食の現実はどうでしょうか。県内の学校給食の米飯実施率は週3日位と聞いています。
他は、コッペパン、チーズパン、ミルクパン、マヨネーズパンなど菓子パンづけになっています。成長期の六年間、九年間、「教育」という名の元にこのような給食を食べさせ続けられた子どもたちはご飯をしっかり食べる大人に育つでしょうか。自給率の向上に貢献する子どもたちに成長するでしょうか。極端な言い方をすれば、[米離れ養成所]、[ファースト・フード予備校]、[輸入食品普及所]の役割を果たしているといわざるをえません。
 これまでも、農水省は「日本型の食生活」を提言してきました。あるいは、JAを始めとした様々な団体が「米食推進運動」を展開してきたことは承知しています。
 給食の問題は文部科学省や教育委員会だということは理解できます。しかし、本気で「児童や生徒の食教育」を考えるのであれば、もはや学校給食メニューの和食化による自給率向上という課題を避けることはできないはずです。地域の各界各層の連携による学校給食の「地産地消」を追求しなければなりません。
地場産給食にはどんな効果があるのでしょうか?。全国の学校給食の自給率調査を行っている長崎大学環境科学部の中村修助教授によると給食自給率を高めることによる効果が数多く紹介されています。
(1)子どもたちへの教育効果が普通の給食とは違う、
・給食を通して、将来自分の心身の健康を守ることのできる食生活の知恵と実践力を身につけることができる。
・地域の自然や産業に関心を持つようになる。子どもたちの中には、将来の職業選択のひとつとして農業など地域の産業を考える子どもが出てくるかもしれない。
(2)地場産業に携わる人々の喜び、やる気が大きくなる
自分が作った農作物や魚介類、豆腐や醤油などを子どもたちが喜んで食べてくれるとしたら、その生産者はとても嬉しく、やる気もでるのではないか。子どもたちにとっても、「あっ、今日はあのオジさんのつくったニンジンだ」とわかれば、食欲もわいてくるし、味わいも全然違うものになる。生産者と子どもたちとが顔の見える関係で「つくる」「食べる」という行為を繰り返すことで、両者ともに良い影響がある。
(3)地域経済の循環が良くなる
給食費は人件費などは含まれず全てが食材費ですが、仮に毎月の給食費3,800円で生徒数が1,000人の町の場合、年間で4,180万円(3,800円×1,000人×11ケ月)になります。現状では多くが町外に流出させているはずです。地元でつくる、地元で買うといったあたりまえのことで地域経済の循環はスムーズになります。また、給食で積極的に地場産品を使うことで、地域の人々にも地場産品の良さを再認識してもらえるはずです。このように中村助教授は、給食自給率を高めることによる効果を紹介しています。

具体的に地場産給食を実践している自治体が全国にいくつもあります。
高知県南国市の学校給食の地産地消の取り組み状況を視察して参りました、ここではご飯をクラス毎に家庭用の電気炊飯器によって、しかも地場産米を炊かれて、子供たちには好評であります。教育長を初め、学校教育課長、栄養士の方々に忙しい中を対応していただきました。市では、地場産米を学校給食に活用する意味を論議する中で、市の北部でとれる棚田米を使うことが市の中山間地域対策や農業振興などさまざまな効果があることに着目したということ、そして中山間地米は良質であるが東北地方などの米どころと収穫期が同じなため、販売がしづらいという課題もあったようであります。これを学校給食で使用することで安定した需要が確保できること、地域の水田として保全できることや水源の涵養にも役立つことになる、ということで論議が始まり、導入にいたったということであります。そして、この地場産米を家庭用の電気炊飯器を使って自校炊飯方式に切り替えました。
 棚田米の生産者は、給食で使用されるまでは消費者のことは考えたことがなかった。子供たちに食べてもらうようになって、農薬や化学肥料を減らそうかとか、考えるようになった。一方で子供たちは、教育委員会が支援する「米つくり親子セミナー事業」に参加し、実際に田植えや稲刈りを体験学習。米生産の文化を学び、その米を使った農家との交流給食を行い、生産者と子供たちの相互の信頼を得るようになった、ということであります。その他に、デザートの開発。地場産であるすももを使用した乳酸飲料、ぶどうを使用したグレープヨーグルトの開発も行政やJA、企業が一緒になって取り組まれ、製品化され、全国の企業からも引き合いがあるということであります。また、農業高校を希望する中学校三年生が、農業高校生と一緒になって無農薬大豆の生産、収穫した大豆による味噌づくりを勤労体験をしている、ということであります。その味噌はすべてがこの給食で使われているということです。
自校炊飯としたことによって、年間に千八百万円の経費節減となり、給食費を値下げをしたということでありました。
学校の給食食材ですが、他県の調査によると国内・県内自給率は、かなり低い状況です。本県の県内産食材は何%利用されているでしょうか。現状を正しく認識する上で、また食教育の観点からもまず自給率調査を実施すべきではないかと思います。そこでお尋ねします。

地産地消運動の推進の観点から、学校給食における自給率調査を行うお気持ちはないか、教育長の見解を伺います。
また、学校給食の地場産地消率は低いと思われますが地産地消推進に向け農水部としてはどのような手だてを考えているのか。学校給食の地場産自給率の向上を一つの柱として「地産地消運動」を推進すべきだと思いますが、農政水産部長及び教育長の見解を伺います。

(答)農政水産部長
次に、学校給食における本県の農林水産物の利用拡大についてであります。
1学校給食に本県の農林水産物を幅広く利用していくことは、県産品の消費を拡大するとともに、子どもたちが本県の農林水産業の大切さや果たしている役割などを学ぷことから、大変、意義あるものと、認識しております。
2県といたしましては、現在、学校給食に本県産の特産果実や県産牛乳を提供するなど、(学校給食への)本県の農林水産物の供給促進に努めているところであります。また、市町村・JA等においても、地域特産品の提供の取組みも広がっております。
3本年度、学校給食の実情を把握するため、本県の農林水産物の利用の実態や給食関係者の購買意識等に関する調査を実施することとしております。
4今後、この調査結果を踏まえ、学校給食での本県の農林水産物のより一層の利用拡大に向けた具体的な取組みについて検討してまいりたいと考えております。

(答)教育長
お答えいたします。まず、学校給食での「地産地消」の推進についてであります。
1学校給食に県産品を活用することは、自給率の向上はもとより、郷土愛を養う観点からも意義深いことであると考えております。
2すでに学校給食で使用している米と牛乳につきましては、すべて県内産のものでありますが、さらに、「冷や汁」や「だご汁」「かきあげ」など地元の「旬の食材」や「特産品」を使った料理を計画的に取り入れる工夫をしているところでございます。なお、自給率調査についてでありますが、本年度から実施しておりまして、現段階での調査結果によりますと、カロリーベースで6割近くになっております。
3県教育委員会といたしましては、今後とも、関係機関・団体と連携を深め、県産品の積極的な活用に努めてまいります。

都城市の大島畠田遺跡についてであります。
11月16日、国史跡に指定される旨の答申が文化審議会からありました。
農用地総合整備事業「都城区域」区画整理に伴う発掘調査を宮崎県埋蔵文化財センターが実施し、平安時代中期から後期の約5000平米の広大な屋敷跡を確認しました。奈良国立文化財研究所の山中敏史・集落遺跡研究室長は「有力者のものと思われるが,当時の屋敷の全体像が分かる遺構は珍しく貴重な発掘。この地方の荘園につながるものではないか」と話しています。資料によると,約5000平米の形成された屋敷跡に、柱の穴の直径が1m以上のもの,ひさし部分まで入れると約250平米の大型の掘っ立て柱建物や,お堂とみられる建物の跡,深さ40〜70cmの池や大型の門,道の跡などを確認。また,当時の上流階級が使ったとされる緑釉(りょくゆう)や灰釉(かいゆう)の陶器,中国の越州窯系青磁(いっしゅうようけいせいじ)といった食器類も大量に出土。
豊富な財力を誇った有力者の居宅跡を裏付け、南九州地方の律令制度の崩壊と、地方有力者の台頭の様子を知る貴重な遺跡と評価されています。

国史跡に指定される大島畠田遺跡に対し、県教育委員会はどう評価されているか、教育長の見解を伺います。

国の史跡指定の答申を受け、都城市では遺跡の歴史公園化を目指すことを明らかにしました。約250平米の住居や池、庭の再現を計画しているようです。来年度中に2万6千平米を買収し、15年度から2年かけて学識経験者による検討を経て17年度着工の計画のようであります。
 県教委としても重要な史跡として認識いただいておられるようでもあり、市としては大島畠田遺跡に係る施設整備計画、アクセス道路の整備、専門職員の支援等に対する県の強いバックアップを期待していることと思います。

県教委として、今日までの都城市とのアクセス状況と、施設整備計画を含んだ今後の支援の在り方について教育長にお伺いします。

(答)教育長
次に、大島畠田遺跡についてであります。
1このたび、国の指定へ向けて答申がありました大島畠田遺跡は、平安時代中期以降における地方豪族の館の全体像を示す遺跡として、全国でも有数の貴重なものであると考えております。
2こうした認識をふまえ、本遺跡への対応につきまして、平成11年度以来、県と都城市が緊密に連携・協議をすすめた結果、農用地整備事業が中止され、遺跡の保存・活用が図られることとなったものであります。
3国の指定後の整備につきましては、管理団体となる都城市が、来年度以降検討委員会を設けて事業計画を策定されると聞いております。支援といたしましては、現在、国においては、指定地の土地の買い上げに8割、整備事業に5割の助成制度があり、また、県におきましても、国の補助に伴う一定の補助枠を設けているところであります。

再質   知事にお伺いします。
 鹿児島県国分市の上ノ原遺跡は、年間50万人を超える見学者と聞いています。大島畠田での現地説明会でも大分、福岡など県外ナンバーの見学者が多数来場していたとのことです。
 大島畠田遺跡のある場所は霧島連山の眺めの良いところでもあり、私が生まれ育った所に近いわけですが。県立母智丘関之尾公園にも近い。県道財部庄内安久線 都城志布志高規格道路乙房ランプ、高速道都城インターに近いなど交通アクセスも良好と、たいへん立地条件も良く、一大観光地となる可能性も秘めており、地元の期待も大きいところです。
史跡の歴史公園整備に向け県の財政支援を大いに期待するところですが、聞くところによると県教育委員会の助成枠は現状では200〜300万円とのことです。先ほどの教育長の答弁の「一定の補助枠」というのはこの金額を指しているのだと思いますが。

昨年、国の史跡指定を受けた山形県米沢市の「古志田東(ふるしだひがし)遺跡」の整備では、県の補助は初年度(12年度)800万円、今年度280万円。来年度280万円の予定だそうです。前例のない大規模な遺跡の保存・整備ではありますが、(山形の例を参考に、)知事のご英断をお願い申し上げます。

(答)お答えいたします。
県内の文化財の保護と活用については、教育委員会で、全県的な観点から取り組みを行っておりますので、ご理解をたまわりたいと思います。

(教育長
新年が本県にとりましてすばらしい年でありますようご祈念申し上げ全ての質問を終わります。 ありがとうございました。


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