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2000年9月代表質問

男女共同参画社会について
観光行政について
商店街活性化について
農林業振興について
分権自治と市町村合併について
ゴミの広域化計画について
通信傍受法について
平和行政について
児童福祉について

社会民主党県議団を代表して通告に従い知事以下関係部長、教育長、警察本部長に質問いたします。
長野県の佐久高原にすばらしい病院があります。JA長野厚生連佐久総合病院です。農村医学を掲げ、地域医療の充実に努めています。農村地帯にありながら都会と変わらぬ医療設備と医療機器を備え、27科の診療科目、救急医療は年間休みなく、24時間体制。健康管理センターを持ち、健診活動や健康教育活動。地域を巡回しての集団健診はもとより、高齢化時代に対応して、在宅ケア・訪問看護活動などに積極的に取り組んでいます。
ここで紹介したいことは、佐久総合病院が、病院を核としたまちづくり「医療福祉都市」を推進しているということです。一言でいえば、保健・医療・福祉を軸とした町づくり、村おこしです。商店街を病院敷地内に作り、廊下やアーケードでつなぎ、商店街と佐久病院の共存共栄を図る。すでに佐久病院の提案を受け、町と中央商店街と病院が一体となり、「街づくり研究委員会」を発足させ議論が始まっています。佐久病院は「農民とともに」を基本理念に、農村医学のメツカと称されるまでに発展してきました。これを指導したのが信州の赤ひげ先生と呼ばれ、現名誉総長若月俊一氏であります。その若月先生が近頃出版された「母なる農村に生きて」にこう記されています。「女性の性や権利は近年、重視されるようになった。でも、『母性』はほとんど考えられていない。」「母なる」の言葉は「モノの消費より生産に目を向けて欲しい」との願いからだそうです。
本来、生産する者と消費する者は近い関係でなければならないはずですが、近年、流通の変化によりその距離がはなれ、分断されいびつな関係になっている現実を直視し、私はこの初めての代表質問におきまして、野莱や木材、まちづくり、地方分権と市町村合併、ゴミ問題など、「モノの生産と消費の関係」をおおきなテーマに、質問をさせていただきます。

まず、地方分権の推進と車の両輪である、男女共同参画社会づくりについてお尋ねします。昨年6月に制定された「男女共同参画社会基本法」の前文には「人権尊重の理念」が謳われています。わかりやすく条文の一部を解説しますと、例えば「男は仕事、女は家庭という固定的な考えが女性の経済的自立を阻み、一方男性一人ではなにもできないという生活的自立を拒んでいるので、男女平等の取り組みの努力が必要である」と謳っています。その上で、「男女共同参画社会の実現を21世紀の我が国社会を決定する最重要課題」と位置づけています。以上基本法の背景と位置づけを申し上げ質問に移ります。

男女共同参画社会づくりの本県の推進体制についてお尋ねいたします。まず、はじめに、男女共同参画社会を実現するにあたり、知事の基本的考え方をお尋ねいたします。
かつて、同和対策法が制定され全国的に同和行政を推進するため各県に独立した同和対策課が設置されました。市町村においても然りです。それはあらゆる分野での取り組みが求められ全庁的体制が必要であったからであり、この男女共同参画社会基本法も同じ事が言えるのであります。すでに他県では、男女共同参画課を設置し、推進体制を整備しているようであります。本県でも独立した課を設置すべきだと思いますが知事の見解をお聞きします。

つぎに、男女共同参画社会条例についてお伺いします。報道によりますと、すでに東京都、山口、埼玉両県と4市の自治体が条例を制定しているようであります。今年度中に三重、石川、鳥取、鹿児島、北海道などが制定の見込みとのことであります。この条例は基本法の抽象的な部分を補完し、その地域の実情にあった内容を盛り込んだものとなっています。この条例設置の有無は、その自治体の男女共同参画社会づくりの熱心度ともされています。宮城県では全国唯一の県議会発議による条例化をめざしています。超党派で1年以上審議を続けており「シェルター(暴力を受けた被害女性の緊急避難所)の充実」「農村漁村の女性の地位向上」など他県の条例にない項目を盛り込んでいます。こうした条例制定の動きは急速に進み、来年度中には各県、市町村が制定するものとみられます。本県も男女共同参画社会基本法の実行ある取り組みを明確にするために早急に条例を制定すべきだと考えますが知事の所見を求めます。

つぎに男女共同参画計画の策定について生活環境部長にお尋ねいたします。基本法第14条では都道府県は、都道府県男女共同参画計画を定めなければならないことになっています。本県ではこの計画策定についてどのような取り組みをされているのか、さらに市町村の計画策定についてどのような行政指導をされているのか、併せてお尋ねします。

つぎに、全庁的な男女共同参画社会づくりについてお尋ねします。国ではこの基本法の前文で「社会のあらゆる分野において推進を図っていくことが重要」としていることを受け、各省庁で事業の推進目標を掲げて取り組んでいます。例えば厚生省では、女性の健康支援や育児指導、介護支援の事業。農林水産省では、昨年11月に「農村漁村男女共同参画推進指針」を策定し女性が対等なパートナーとして男性とともに参画していくための支援を行い、警察庁では、夫の暴力への対応と夫の暴力根絶の事業に取り組んでいます。その他労働省や文部省など各省庁ともこの基本法制定を機会に、目標を定めた取り組みがなされています。本県では各部でどのような取り組みがなされているのか、各部を代表して各部の調整をされています生活環境部長にお尋ねします。また、職員の研修教育が急がれますが取り組み状況について併せてお尋ねします。
最後に教育長にお尋ねします。この男女共同参画社会づくりには、教育が最重要とされています。教育現場で特に留意して取り組んでおられるものがあればお示しください。又、先日の新聞で「教育現場への女性進出ワースト5」とか、「高校校長・教頭ゼロ」などの見出しで女性の登用が進んでいないとの指摘がありました。基本法が制定されて1年以上経過した今日、不名誉な報道がなされています。管理職比率全国45位の実態をどのように認識されているのかお伺いします。

つぎに観光行政についてであります。
まず、無事成功したサミット外相会合の成果について企画調整部長にお伺いします。県民運動として取り組んだサミット外相会合は県当局や警察本部、関係団体のご尽力により成功の内に終わりました。ご苦労いただいた皆さまに心から敬意を表したいと思います。 さて宮崎の国際会議都市としての浸透度PR効果の成果はいかほどだったのでしょうか。サミット開催に要した経費は概算でどのくらいに上るのでしょうか。招致イベント等にかかる費用も含めた合計額をお教えください。また、サミット開催に伴う経済効果はどのくらい見込めるのでしょうか。併せてお尋ねします。また、休む間も無く次の手を打たないとすぐ忘れられてしまうとの指摘もあります。サミットの成果を今後につなぐためにもポスト・サミットの戦略が極めて重要だと思います。国際会議都市・国際観光都市構想推進に向け具体的な戦略はどのようなものでしょうか。知事にお伺いします。
 ここで、シーガイアの再建についてはどうなっているのか、また抜本的経営改善計画の進捗状況はどうなのか。知事にお伺いします。

女性の視点に立った観光誘致についてお尋ねします。
今の観光のスポットといわれるのはどれも「おしゃれ!」と女性に言わしめるところが人気です。過日、わたしは京都嵐山のトロッコ列車をみてきました。JR時代は赤字ローカル線だったのが第3セクターで運営したらものすごい人気だそうです。元々観光客の多いところですが、人気の秘密はおしゃれなトロッコ列車だということです。そして車内で歌を歌い、気軽に記念写真に応じるユニークな車掌さん。平日というのに女性でいっぱいでした。
そこで提案です。フラワーフェスタの時期だけでも 沿線を走る列車を花で飾った花列車にする、また、こどものくに駅舎をおしゃれにペイントする、どうでしょう。 
デズニーランドの隣にもできたアウトレットモールが今はやりです。全国どこも成功している様子であります。シーガイアに造ってみてはいかがでしょう。若い女性がサミットを成功させた宮崎をどうみているかというと「ダンロップフェニックストーナメントにサミット、ビジネスマンの町ねー」というのだそうです。世の中の半分以上を占める女性をメインとする観光客誘致が有効だと考えますが、取り組みの現状はどうでしょうか。商工労働部長にお尋ねします。  
つぎに高度情報インフラ整備による企業立地についてであります。
わたしはリゾート地を活かした高度情報インフラ整備による企業立地 を推進したらどうかと昨年の11月定例議会で質しましたが、今回の光ファイバー整備計画・宮崎情報ハイウエー21構想を受け今後の企業立地対策はいかに進められるのでしょうか。商工労働部長にお尋ねします。
つぎに外国観光客誘致のための国際定期便についてであります。、
さきごろ知事はソウル定期便開設のため訪韓され、建設交通省、アシアナ航空、韓国観光公社に対しソウル定期便開設の要請をされたようですが、その成果はいかがだったでしょうか。手応え、可能性、感想をお聞きしたいと思います。また、今後の取り組み、中国など韓国以外の近隣アジア諸国等の取り組みについてもお尋ねします。
関連して航空事業新規参入のスカイアジアネット航空が宮崎市に本社を移転したようであります。宮崎発着路線の認可の見通しはどうなのでしょうか。企画調整部長にお尋ねします。

次に、中心市街地活性化の取り組みについて、おたずねいたします。
 規制緩和が進み、道路整備も相まって、郊外大型店が次々にオープンし、まちの顔であるべきはずの中心市街地は空洞化の一途をたどっています。
 以前、私は、一般質問で東京・早稲田のエコタウンを例に、商店街活性化策についておたずねしたことがあります。リサイクル社会の実現と商店街活性化という2つのテーマを巧みに結びつけたすばらしい事例としてとりあげたわけであります。東京のみならず、県内に目を転じてみても、すばらしい事例があります。都城市では中心市街地の空洞化対策として、オープンしたオーバルショップ&レストランが、1年半たちました。1年間で46万人が訪れ、約7億6000万円を売り上げる健闘をみせています。さらに刺激を受けたように周辺では薬局、エステサロン等が次々開店して新たなまちの広がりを感じます。この事業は、通産省の「店舗等集団化事業」補助事業により取り組んだものでありますが、発想の主体は地域の経営者たちであり、地域住民のまちづくりへの意欲が成功の要因です。宮崎商工会議所の宮崎TMO構想もあります。宮崎市のアゲインビルで、「チャレンジショップ」として、新規創業支援と市街地活性化にとりくんでおりますが、私のホームページにメールを送ってくれた宮崎大学大学院生の山元君も、マグネットショップをオープンした出店者の1人であります。彼は私に対し、「将来自分で起業したいと思っておりチャンスだと思い応募しました。資金がかからず、又商工会議所の経営指導などのバックアップ体制もしっかりして自分にとって経営を学ぶいい機会である、また自分なりの方法で宮崎の活性化に貢献したい」と語ってくれたのであります。倒産、閉店と暗い報道が続く中でとても明るい話題です。あげた例は、一例でありますが、今後大事なことはやる気のある人たちをいかにバックアップするか、また、やる気をどう起こさせるかだと思います。行政の支援としてはこれまで、アーケードをつくるとか、カラー舗装を施すとかでありましたが、今後は、住民の発想による中心市街地活性化策、商店街の活性化をいかに支援するかだと思います。本県の取り組みはいかがでしょうか。商工労働部長におうかがいします。
 また、関連して大店法の問題であります。今年6月に、従来の大規模小売店舗法にかわり、大規模小売店舗立地法が施行されたところであります。規制緩和の流れのなかで、すべて市場原理にまかせるべき、という風潮がありますが、中心市街地活性化のためには、ある程度の規制が必要であります。大規模小売店舗立地法の施行と同時に、都市計画法が改正され、都道府県や地元自治体が主体となってまちづくりに取り組む環境が整備されております。この大規模店舗立地法をひとつのきっかけにして、たとえば「中小小売店舗が立地」する地区と「大規模店が立地する地区」を区分けするといったまちづくりが可能になっております。新たな大店法施行を受け、本県は県内の商店街活性化についてどのような支援をされていくのか、商工労働部長におたずねします。

つぎに農業振興策、特にきゅうり、ピーマンなどの施設野菜対策を中心にお伺いします。
例外無き関税化を迫られた1993年のガットウルグアイラウンド、さらにそれに続くWTO農業協定により食料品の輸入自由化がすすみ、野菜価格は暴落、食糧自給率は低下の一途をたどっています。中・長期的に世界的な食糧危機が予想される中、これ以上の国内生産の縮小・輸入依存は安全保障上も危険であります。いままさに、日本の農業は外圧によって崩壊に至るのではないかと危惧しています。農業はまず何よりも、そこに住むひとたち=地域の消費者に安全で良質な食を提供することが基本であり、そもそも国の自給率の低下は、地域の自給率の低下の結果です。地域の自給率が高まらない限り、国の自給率が高まることはありえないと思います。
 地域自給率向上の動きは、全国的にすでに始まっています。岐阜県では、現在30%の自給率を、2005年までに50%に高める県独自の目標をたてているそうです。農業県であり、食糧供給基地を自認する本県では、このような取り組みがなされているのでしょうか、自給飼料の確保を含め、まず知事におたずねいたします。
 次に、施設野菜対策についてであります。 ピーマンの産地茨城県波崎町にこの夏2回も行かせていただきました。町役場の助役は「国内で熾烈な競争をしなくてもいいのでは、ないか。おたがい協力して出荷量の調整はできないものか」と語っておられました。わたしもそう思います。敵は産地間ではありません。外国産です。さて、常任委員会の場で農政水産部長は、流通は専門のJA経済連に頑張ってもらうと答弁されています。それでは行政の役割はどこにあるのか、宮崎の現状はどうなのか、それぞれにお尋ねして参ります。
 まず生産対策についてであります。 県の調査では、設置後15年以上のハウスが44%にのぼります。施設更新時期にきているものの、投資額が1000万円ほど必要とあって、新規投資などとても出来ないのが現状です。現在の価格の低迷が続けば、ますます農家の体力はなくなり、ハウス施設の更新もできず、競争から取り残され、宮崎の農業はついには壊滅に至るのではないかととても心配です。知事が提唱された国土保全奨励制度が具体化されたことは私たちも評価しております。いま、行政の役割として、再生産費が確保できる価格の維持、すなわち低迷時の補償制度の充実と価格安定制度の全面変更が必要と考えます。抜本的に農家の直接所得の補償に踏み込まなければ、食糧自給率は、ますます低下するばかりではないでしょうか。知事の見解をお伺いします。
 次に、輸入対策についてであります。韓国はウルグアイラウンド対策として、施設に対し高い補助金や低利な融資を行い、農家負担10%で施設を整備するなど、日本をターゲットに大幅に輸出を増加してきています。これ以上韓国は延びないとの説もありますが、次は中国がやってくるのではないでしょうか。早く対策を打たなければ、かつてのオレンジ、レモンの二の舞になるのではないかと心配しています。本当の競争相手は「産地間」ではなく外国産だと思います。国に対し輸入の制限を県と議会で強く要請する必要あると考えますが、輸入制限の要請を国にする考えはないか、知事にお伺いします。
 次に消費拡大対策についてであります。
本県の農業政策は、消費者対策が遅れているのではないでしょうか。なぜ、日本一の生産を誇る宮崎のピーマンを、農家の皆さんが必死でつくっているのにもかかわらず県民が選んでくれないのでしょうか。消費拡大には、ブランド確立・さらなる品質向上が必要と県当局はいわれますが、しかし、低農薬・低化学肥料栽培などの安全性の確保を急いでいるにもかかわらず、オランダや韓国産のパプリカや中国産のさといもなど輸入は大幅に伸びています。原因はどこにあるとお考えでしょうか。消費者動向についての農政水産部長のお考えをお尋ねします。
 低農薬・低化学肥料栽培などの普及推進が急務とのお考えには賛成です。とくに、外国産との差別化には有効だと思います。現状はいかがでしょうか。また県内消費者に対する県内産消費拡大のPR策が重要だと考えます。あわせて農政水産部長の見解をお聞きします。
 次に、品種改良・技術指導対策についてであります。
視察した茨城県では、連作障害などの病気に強い品種改良を、県の研究所で研究していると聞きました。露地栽培と違い、ハウス栽培ではどうしても病気が入りやすくなります。宮崎における品種改良・技術指導体制はどうなっているのか。ピーマンを例に現状と課題について農政水産部長にお伺いします。また関連して、総合農業試験場の役割についてであります。総合農業試験場の整備に伴う組織改編の計画はどうなっているのでしょうか。農業が大変なときだからこそ、他県と差別を図る意味からもさらなる組織の充実、研究職、技術職の充実強化が必要と考えます。整備についての基本的考え方と、今後の見通しについて農政水産部長にお尋ねします。

次に木材の利用推進対策についてであります。
ご承知のように、林業・木材産業を取り巻く諸情勢は、輸入製品の増加や住宅着工戸数の大幅な減少等に伴う木材需要の減退、価格の低迷など、従前にも増して厳しい状況にあります。しかし木材は、人に優しい自然素材であり、軽くて丈夫で使いやすいといった優れた性質を備えています。例えば、木材は、情緒を安定させたり、アレルギー性疾患の原因となるダニの発生を抑えるなど、人の健康に良い影響を与えることは良く言われております。このように優れた性質をもつ木材を、住宅建築分野を中心に幅広く利活用していくことは、本格的な収穫期を迎えつつあるスギを主体とした本県の森林資源の有効活用はもとより、森林の公益的機能の発揮や山村の振興にもつながるのと考えます。もちろんわたしはふんだんに県産材をつかって自宅を造りました。私は、県産材の需要拡大、林業・木材産業の振興を図るためには、木材の優れた特性を目に見える形で、まず県民に幅広く理解してもらうことが重要と考えます。たとへば県産材を使ったモデル住宅展示場をつくってはいかがでしょうか。県では、木材や木造住宅の良さを広く県民にPRし、県産材の需要拡大につなげていくため、どのような取り組みを行っているのか、また今後、どのような対策を講じていく考えなのか、林務部長にお伺いします。

次に、地方分権と市町村合併についてであります。
 我が国において、地方公共団体の自主・自立性や、住民参加につきましては、戦後の民主憲法において保障されており、したがいまして、知事や私たち議員も住民の直接選挙によって選ばれております。にもかかわらず、これまでは機関委任事務制度により、国と地方自治体とは、上下・主従関係に置かれていたのでありますが、このようななか、昨年7月の地方分権一括法の成立により、ようやく機関委任事務が廃止され、国と地方公共団体の関係は、憲法の理念である対等・協力の関係となることが可能となったのであります。
 さて、地方分権一括法の柱は、「住民に身近な行政はできる限り地方公共団体に委ねる」というものでありますが、これは、多様化する住民ニーズにタイムリーに応えるにあたり、これまでの中央集権的行財政システムでは弾力的な対応が困難であることが明白になってきたからであります。したがいまして、地方分権の意味合いは、国と地方との間の単なる「官官分権」にとどまることなく、地域住民から信託を受けた「地方政府」として機能しなければなりません。このような意味においては、今後行政担い手である市町村は、住民にとってはまさしく政府であり、これまでにも増して重要なものとなってくると考えなければなりません。これまでの、国に陳情を行い補助金を獲得する首長がもてはやされる時代から、自らの発想と行動でまちづくりに取り組む首長が評価される時代となったのであります。ここで知事にお伺いします。、分権自治の世紀である21世紀の「知事」のあるべき姿・地方政府の指導者像についてどうお考えでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
 さて、ここにいたって、今後の地方分権の主役である市町村に対し、地方分権の受け皿を整備するという名目での合併問題が生じているのであります。なぜ、今平成の市町村合併劇なのか。今回の市町村合併推進の裏には「市町村は分権に耐えられない」=地方分権の「受け皿」になりえない という地方を見くびった中央省庁の巻き返しの側面があるとわたしは考えています。市町村の歴史は、一貫して数の減少と面積の拡大を続けてきておりますが、特に大きな変革は、「明治の大合併」と、「昭和の大合併」の二つの時期であります。明治の大合併では、明治21年末に7万1,314あった町村が、次の年には1万5,820と、約5分の1に、また、昭和の大合併におきましては、9,868が、「新市町村建設促進法」施行の昭和36年6月には、3,472と約3分の1に激減したのであります。
 自治省では、合併のメリットについて、人員削減による経費節減、公共施設の効率的配置などをあげております。しかしながら、自治省主導で進められている今回の合併促進は、まさしく中央政府による地方政府再編、すなわち、市町村を中央政府の下部機関として扱うものであり、地方分権に逆行するものといわなければなりません。市町村の地方政府としての位置づけを軽視し、市町村の役割を単なる行政効率、コストでしか捉えないものであります。
各市町村にはそれぞれに歴史的な背景があり、住民に長く愛されてきた固有の地名が残されております。また、その地理的な状況も様々であり、例えば険しい山間部に位置する市町村と、平地に位置する市町村とを同列に合併論議を行うのは無理があるといわざるを得ません。今回の合併問題は、昭和の大合併の総括をしっかりすることから始めなければならないと思います。昭和の大合併でなにが残ったのか。これまでの合併の例をみても、かつて栄えていたそれぞれの中心地が残らず、役場から遠ざかった集落がさらに過疎化するといった実例がすでに実証済みであります。自治省、あるいは県主導の合併では、かりに無理な合併を行ったとしても、行政サービスはさらに低下し、自治体行政が住民から遠ざかることが大いに危惧されるのであります。合併のメリット、デメリットが地域の状況によって異なるのは当然であり、一律に国や県が押しつけるものであってはならなず、当該自治体同士の主体性を尊重、慎重に取り扱うべきであると考えます。市町村合併について、知事は県議会答弁のなかで、「基本的には市町村が自ら検討すべき問題」とのお考えを示しておりますが、考えは変わっていませんでしょうか。また、市町村合併における基本的考え方をお示しください。わたしは宮崎県の市町村合併問題は昭和の大合併でもう終わったと認識していますが知事はどうお考えでしょうか。県は、今年5月30日に、県内全44市町村の合併の組み合わせを盛り込む要綱案作成に向けて、市町村合併懇談会を設置しております。この市町村合併懇談会の役割についてどのような認識をお持ちでしょうか、総務部長におうかがいいたします。
 また、さる8月30日に、第2回目の懇談会が実施され、県内全市町村長からの聞き取りを終えたとの報告がなされたようであります。予定では、今年12月にも要綱案の作成を終えることとなっているようでありますが、懇談会におけるこれまで主な論点と要綱案の公表時期についての見解をあわせて総務部長におうかがいいたします。

次に、地方分権に関連し地方税制についておたずねします。
県民の様々な行政需要に答えていくためには財源の確保は極めて重要な間題であります。今日、国と地方の税源配分は2対1、地方交付税や国庫支出金の配分後の最終支出は1対2となっており国家が地方を管理すると言う極めていびつな税制となっています。厳しい財攻状況の中で、東京都に続き大阪府が大手銀行を課税客体にした外形標準課税と法人住民税の均等割り部分の税額を2倍に引き上げる独自増税案を2001年度からの導入を決定したとのことであります。又、本県においても昨年度末の県債残が7452億円と厳しい状況にあり、今議会に来年l月に期間満了となる法人県民税の法人税割の超過課税の延長議案が提案されているところであります。
平成10年に決定された地方分権推進計画においては、歳出規模と地方税収入の乖離の存在を指摘して、国と地方の税源配分の在り方について検討し地方税の充実確保を図るとしています。又、平成10年度に事業税の外形標準課税の課題を中心に地方法人課税について総合的な検討を進めるとしていますが今日に至ってもその結論は出されていないのであります。このような財源なき分権が進行することは地方にとりましては正に死活間題であるわけでありますが、長期的視点で財源問題を考えていくことが重要となっています。そこで、国と地方の税源のありかたについての現状をどのように考えておられるのか知事にお尋ねします。又、本県財政確立のため中期財政計画を策定すべきではないでしょうか。又、財源確保の一環として今議会に提案されている超過課税の延長問題について各県の状況と提案理由について総務部長にお尋ねします。

次にゴミ処理広域化の問題についてお伺いします。
都城北諸の一部事務組合で運営しているゴミの焼却施設・清掃工場が平成14年12月から規制が厳しくなるダイオキシン対策の補修を行っています。補修といっても30数億もかかる大がかりなものです。さらに、なぜ耐用年数がとっくに過ぎた施設に30数億もかけて改修しないといけないのでしょうか。いっそのこと新築した方が経済的と思うのが普通ではないでしょうか。なぜ、新築しないのか、しないのではなく今は新たな清掃工場を造れないからです。理由は県のゴミ処理広域化計画があるからです。計画によれば北諸、西諸、南那珂の5市10町村でつくらなければならないため、それまで各市町村は既存の清掃工場をだましだまし使い続けるか、他の自治体や民間業者にゴミ処理を委託しないといけないわけです。
昨年完成した都城市の最終処分場は、当初計画では15年ほどの寿命を考えていたようですがこのままだと後5年持つだろうかという話になっています。今急がなくてはいけないのは、ゴミを減らすために分別とリサイクルを進めることだと思います。ゴミの広域化計画では、ほとんどの自治体からゴミの焼却場や最終処分場が消えてしまいます。委託料、負担金を払えばまちからゴミが消えるわけです。そうなるとどうしても自治体や住民がゴミの減量化、リサイクルに目が向かなくなる可能性が高いわけです。燃やした方が住民の負担も少ないし、コストも安く上がる。そういうことになる可能性が高い。いっぽう容器包装法が全面施行された現在でもリサイクル品目がいっこうに広がらない現実があります。県の広域化計画では、今後ますます自治体の役割である一般廃棄物処理が住民から、距離的にも意識的にも遠くなる心配があります。県の計画は巨大すぎて、住民のリユース、ディユース、リサイクルの意欲をなくさせはしないか。行政効率やコスト論ばかりが先行していないか。燃やすことよりまず、遅れているリサイクル事業の方を急がないといけないのではないかと思います。
県が進める広域化計画ではゴミの減量化・分別とリサイクルがなおざりになりはしませんか。知事にお尋ねいたします。
また、広域行政の面からも問題が数多くあります。県内3ブロックとも15市町村ぐらいが構成団体数になります。こんなに多ければ、なんといっても責任の所在が曖昧になります。1自治体で行う事業は首長をトップに責任体制も完結します。しかし、広域事業になれば構成自治体の首長たちは1株主にすぎなくなりますから運営方針、責任体制が曖昧になってしまいます。また、構成自治体の合意形成に時間を費やしてしまいます。なぜ、これまでに広い範囲のごみ集約をしないといけないのか。現在の一部事務組合単位のゴミ処理計画でなぜいけないのか。県の広域化計画は職員の減や経費の縮減など、単なる行政効率やコスト論ありきではないのか。ここで広域化のメリットを知事にお尋ねいたします。

次に、通信傍受法、いわゆる盗聴法の問題についてお伺いします。
昨年8月13日、国会において、組織犯罪対策三法が成立しました。なかでも、「通信傍受法」については、憲法の保障する通信の秘密、プライバシー保護を侵害する恐れがあるとして、日弁連をはじめ多くの団体が抗議声明、抗議行動を展開したなかでの成立でありました。法務省は、この法律について、「大規模凶悪犯罪に対する強力な武器」としておりますが、 日本の法律では、憲法第21条で明確に「通信の自由はこれを侵してはならない」と定めております。このことから盗聴捜査が憲法の規定に反することは明らかと考えますが、憲法上の問題について、知事におうかがいいたします。
 次に、運用上の問題についてであります。
平成12年8月8日、国家公安委員長名で、通信傍受規則が定められ、とうとうわれわれ一般市民の通信傍受が現実のものとなりました。盗聴法は、組織犯罪対策法の一部とされていますが、盗聴の範囲は組織犯罪に限定されているわけではなく、個人の電話、ファックス、電子メールなども含まれています。盗聴された事実については、一般のひとに通知されるわけではないため、いつも警察の盗聴を危惧しながら会話をしなければなりません。個人のプライバシーの保護について、今後どのように配慮されていくのか、県警本部長にお尋ねいたします。さらに、宮崎県公安委員会は、8月14日付けで「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律に基づく傍受令状を請求することができる司法警察職員の指定に関する規則」を告示しています。規則によれば、傍受令状を請求できる者は、県警本部の生活安全部、刑事部又は警備部に勤務する警視以上の階級にある警察官、警察署に勤務する警視以上の階級にある職員とされ、証票が交付されるとのことですが、宮崎県警において、該当者は何人いるのでしょうか。また、証票が交付された職員以外の警察官が業務にあたることは無いと思いますが、いかがでしょうか、お尋ねします。警察不祥事が問題になってる今日、警察官の資質の向上とあわせ、プライバシーの保護を重点に置いた研修の充実が不可欠と考えますが、この通信傍受法についての研修はどのような観点から、どのような形で実施されているのでしょうか、警察本部長にお尋ねいたします。

平和行政核廃絶への行政としての具体的取組についてお尋ねします。
今年も広島、長崎の55回目の原爆慰霊祭をむかえました 。
昨年9月定例議会「核兵器廃絶・世界の恒久平和を希求する宮崎県宣言」に関する全会一致の決議から1年経過しました。この決議の出だしは「世界の恒久平和は人類共通の願いである。私たちは、核兵器を廃絶し、戦争のない社会、平和で安心して暮らせる社会を子孫に引き継ぐことは、今を生きる私たちに課せられた最大の責務である。」と尊厳高く明記されています。 県下の全ての市町村と県で非核平和都市宣言を行ったのは全国で10番目と聞いています。九州各県でも全ての市町村と県が宣言しているところはなく私たち県民はこのことに胸を張っていいと思います。知事として県議会の決議をどのように受け止めているのか、また平和行政の基本的考え方についてか併せてお伺いいたします。さらに、非核都市宣言を受けて県として具体的な取り組みはあったのかお伺いします。わたしは原爆パネル展の開催、非核平和宣言シンボルタワー設置など是非取り組みを急いでほしいと考えています。
 教育長にお伺いします。教育委員会は県議会の決議をどう受け止めておられるか、また、学校教育における平和教育の取り組みの現状についてお示しください。近年、被爆者語り部の高齢化による減少が心配されています。県内の被爆手帳の所持者は1000名を割り年々減少してきていると聞きます。教育現場での語り部の積極的活用はできないでしょうか。語り継ぐ活動の後援を平和教育の一貫として教育委員会が担うべきと考えますがいかがでしょうか。あわせてお伺いします。

児童福祉についてお尋ねします。
残念なことに県内で初めての児童虐待による逮捕者がでました。たまたま県警に逮捕された時間にわたしは中央児相におりました。緊迫した中ではありましたが児相の実態を含め貴重な話が聞けました。とくに、児童虐待の防止に関する法律が公布された関係で児童虐待の早期発見にむけ、学校、警察、医療、保健職場との連携強化の必要性を強調されていました。
これまでも、今回の逮捕されたケースのように一歩遅かったら子どもの命が危なかった深刻なケースが県内でも毎年発生していると聞きました。今回の事件の報道や今年11月の児童虐待防止法の施行に併せ、これまで以上に相談が増加することが予想されます。施設を案内いただいたケースワーカは「家庭訪問したくても毎日相談の予約が入り、なかなか訪問できない」と悩みを語ってくれました。役所の窓口で税金を納めたり住民票をとったりそのような短時間では面接相談は受けられません。多くの問題を抱えた家庭が多く長時間、何日にもわたり関わらないといけない。また家庭内に介入することを拒否する父親や、子どもを児童福祉施設に入所させようにも、なかなか保護者の同意がとれないなど一つ一つ大変なケースばかりでケースワーカたちは疲れ切っている様子でした。児童虐待だけ力を入れているとそれ以外の業務、たとえば非行問題とか、学校などから急いでほしいと苦情が来たりするそうです。他機関との連携を強化し防止策の強化に努めようにも、今が限界のような気がします。
宮崎県は国の配置基準に沿っているとの説明ですが、九州山地を抱える44市町村にわずか10人のケースワーカではとても足りません。国の基準には面積の配慮がありません。悲惨な事件が県内でも発生しております。人材の育成は当然の事ながら、専門職員の充実、とくにケースワーカの増員を是非お願いしたいと思います。福祉保健部長強くお願いいたします。
延岡と都城の児童相談所改築についてであります。老朽化の激しい両児相の改築にあわせ児相、福祉事務所、婦人相談所支所機能、婦人保護施設を一緒にして整備してはどうかと考えます。中央児相の複合施設を目のあたりにして複合化はとても有効だと思います。ぜひ老朽化の著しい両施設の改築を急いでいただきたいと思います。知事にお伺いします。
子どものしつけ方を知らない親が増えてきている、中央児相でもそのような実態を聞きました。PTAの会合でもよく耳にします。子どもを育てる親をどう育てるか、地域、学校、行政の連携がとくに重要だと思います。子育てについての親業の教育・支援についてどういう方策があるか、現状の取り組みと課題について福祉保健部長と教育長にお尋ねします。


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