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口蹄疫知事申入書

宮崎県知事 松形 祐堯 様

申入書

口蹄疫発生に伴う諸課題の解決に向けて

2000年4月17日
    社会民主党宮崎県連合

 3月25日、国内では92年ぶりとなる口蹄疫が宮崎市富吉において確認されて以来、県を中心に、市町村及び農業団体等が一体となって、家畜伝染病予防法に基づく防疫措置等を実施してきておられますが、その対応に対しまず敬意を表します。
 しかし、残念ながらその後隣接する高岡町において続けて2軒の農家で新たに疑似患畜が確認されました。
 現在、宮崎市富吉の農場を中心とした20km県内を汚染地域、半径20kmから50kmを警戒区域として、生きた家畜等の移動を制限しています。移動制限等の措置により、県内の家畜市場は閉鎖され、家畜の出荷ができず飼料代等コストの増加や商品価値の低下、牛肉の買い控え等、生産・流通・消費の各段階において多大な影響が出始めています。今回の口蹄疫間題は、「畜産王国」宮崎の死活に関わる重大な事態であるため、早急に対策を講じる必要があります。
 以上をふまえ知事に対し次のとおり申し入れます。

(1)畜産農家の被害補償・資金等の支援
 新たな患畜の発生で、移動・搬出制限の期間が5月上旬まで延長され、長期間競り(せり)をはじめ家畜の売買が不可能となるなど、畜産農家の資金繰りが悪化しています。関係農家に対する新たな融資枠が今回発表されましたが、これとて3か月後には償還が始まります。3か月後に市場が正常化している保証もないなかで、返済のめどの立たない融資は受けられません。本来、この伝染病発生に伴う畜産農家の過失は全くありません。農家にとってみれば正に「災害」そのものです。このような損失は国の補填(限りなく100%)があって当然です。国民に対する安全な食糧の安定供給は国の責務であり、これらの観点からも国の農家に対する被害補償が強く求められます。県におかれては、早急な補償及び資金等の援助を国に対し要請していただきたい。

(2)一日も早い信頼回復をはかる体制の確立
 「畜産王国」宮崎の打撃は畜産農家だけではありません。食糧供給基地宮崎は飼料加工企業(農協なども含む)も数多く、従事している人もかなりの数です。また、宮崎行きを遠慮するなど観光産業にも影響が出てきています。昼夜を問わず関係者はその対策に努力されており、一日も早い安全宣言が待たれます。しかし、安全宣言が出たとしても消費者の牛肉離れは当分続き、肉の価格の下落が長期化する可能性があります。安全性をPRすればかえって不安を煽るという現象も報告されており、風評被害対策は容易ではなさそうです。根気よく流通関係者及び消費者に宮崎牛等の安全性を訴え続けていただきたい。また、海外からの口蹄疫侵入防止のための措置を強化するとともに、その根本的な治療法・薬剤等の開発・研究の強化に努めることを求めたいと思います。特に口蹄疫ウイルスの鑑定検査が地元で実施できる体制を一刻も早く整備していくために、家畜衛生試験場九州支場(鹿児島市)の施設拡充を含め、検査体制の確立を国に要請いただきたい。

(3)飼料米、稲ワラ等国産粗飼料の安全かつ安定的な供給体制の確立
 伝染病は感染源を絶たなければいくら消毒や血液検査をやっても終息できません。消費者の信頼回復のためにも飼料をはじめすべてを国内産で供給すべきであります。休耕田での飼料米の生産により飼料と稲ワラの確保がはかれます。しかし、今回感染源を疑われている「麦わら」は口蹄疫が流行しているアジアからの輸入品であります。一方、米の産地東北地方の稲ワラはコストが高いということで取引がなく焼却処分をしているという現実があります。国内産飼料を使い少々コストが上がっても安全な肉を消費者に提供することが今一番大事なことです。今こそ国内生産体制の確立が求められています。

(4)口蹄疫対策従事職員の健康管理の保持
 口蹄疫発生以来長期にわたり多くの関係職員が従事されていますが、その疲労はピークに達していると思われます。このままでは職員の健康に重大な影響を与えかねません。必要に応じ関係団体を含め更なるサポート体制を充実いただくよう要請します。


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