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1999年6月議会一般質問

感染症予防について
地方分権一括法案について
介護保険実施について
ゴミ処理の広域化について

 まず、感染症予防についておたずねいたします
 平成10年10月2日付けで「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」ができ今年4月1日から施行となっています。
 この法律の前身は「伝染病予防法」「性病予防法」「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律」の3つであります。特に「伝染病予防法」は、明治30年にできた古い法律で、カタカナの法律が今日まで生きていたわけでありす。わたしは都城市役所で伝染病予防・隔離病舎運営に携わっていたことがあり、この事業については理解していたつもりなのですが、選挙期間中に法律ががらっと変わっていました。4月から市町村の伝染病隔離病舎がすべて廃止されたと選挙が終わってから聞きまして、おどろいたところであります。短い時間での変更でしたから県、市町村の担当部署の方々は、大変だったことと思います。
 確かに明治の法律ですから、最近知られるようになったエボラ出血熱や エイズ・O157などの新興感染症に対しては、対応しきれない部分があったり、21世紀を迎える今日に、本人の意向に関係なく、強制的に病院の離れの見る限り隔離されている施設に入れられるという、まさに人権尊重の配慮などありませんでしたから法律の改正は時代の要請として当然だろうとは思います。
 そこで福祉保健部長におたずねいたします。感染症新法の趣旨はどういうものでしょうか。
 また、それまであった市町村や一部事務組合運営の隔離病舎には専従の看護婦等が国庫補助により複数配置されていました。都城地区では看護婦が4名配置され、うち2名分の人件費が国の補助金となっておりました。また建設して新しい施設は起債も残っていると思います。おたずねいたします。市町村運営だった隔離病舎の運営費は今後どうなるのでしょうか。
 今後は人件費への補助は難しいとしても、国の指導に従い、隔離病舎を建設した市町村は借金だけが残ります。今後は施設維持に国庫補助はないのか、お伺いいたします。
 また、起債の残っている施設はいくつあるのでしょうか。お伺いいたします。
 つぎに、患者の収容についてであります。隔離病舎が廃止されたわけですから感染症患者が発生した場合は、隔離病舎の代替え施設として医療機関に委託することになるのでしょうか。県内の医療機関への委託などの状況はどうなっているのかおたずねいたします。
 また、これまでの法律では、家屋の消毒や発生患者の搬送は市町村の責務でした。今後は、感染症患者が発生した場合の消毒等の処置及び医療機関への患者の搬送は、県、市町村または個人のどこの責任で対処するのでしょうか。以上、福祉保健部長におたずねいたします。

 つぎに地方分権一括法案についておたずねいたします
 政府は、3月26日、「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案(以下、分権一括法案といいます)」を閣議決定し、3月29日、第145通常国会に上程しました。本法案は、機関委任事務制度の廃止およびそれに伴う事務の再構成、国の関与の見直し、国と自治体の係争処理機関の創設などを中心に、関係法律475本を一括法として取りまとめたものであり、法律本文は1200ページに及んでいます。
 私は20年近く都城市役所に勤務し、国と地方の関係の現実を目のあたりにしてきました。地方自治とは憲法で保障された「自分たちで自分たちを治める」という意味ですが、実際には、地方自治体の大部分の仕事は、事業ごとに事細かに規定された国のマニュアルに従わなければなりません。補助金という存在もそれを後押ししています。国との関係は当たり前のように、国が上で地方自治体が下という関係でしかありません。マニュアルにないことがらは県を通じて逐一、国に照会し了解をもらう。こんなことを日常茶飯事やっていました。
 そんな国との関係を見直し、国民の福祉を進めるという、共通の目標に向かって、お互いに対等な関係を築き、個性豊かな地域社会を実現する。そのために、住民に近い自治体に仕事や権限、お金を移していくという目的で「政府の地方分権推進計画」は策定されたものと思います。
 国から仕事や権限が地方に移れば、地域の実情にあわせ独自のサービスを提供できる範囲が広がります。ゴミ問題や教育、まちづくりといったいま一番身近な問題にも柔軟に対応できるようになりますし、自治体間で個々の政策を競い合い、住民に評価してもらうという競争意識も育ってきます。地方自治体で働く多くの仲間が待ちわびた真の「地方自治の確立」がそこまでやってきました。
 この法案によって、中央集権型行政システムの象徴であった機関委任事務制度が廃止され、自治事務、法定受託事務の如何を問わず「自治体の事務」と位置付けられることになります。また、国から自治体への関与は地方自治法に一般ルールとして規定され、自治事務に対する権力的関与は原則として否定されることになり、自治体は「関与」をめぐって国と争うこともできるようになります。今回の分権改革は、中央集権制度の改革と新たな自治制度の構築を意味し、画期的なこととして評価することができます。しかし、勧告と分権計画から変更が加えられ国に有利になったもの、あるいは中央省庁の抵抗などによって問題が残っているものがあります。従来の機関委任事務体制を実質的に存続させるものや、さらには地方分権の流れに逆行するものが含まれております。

 第一は、機関委任事務制度の廃止が実効あるものとなっているかどうかであります。561項目と言われた機関委任事務は、自治事務55%、法定受託事務45%に振り分けられました。しかし、法定受託事務に区分されたもののなかには、厚生省関係に限ってみても、自治体の判断と責任で行う自治事務とすべきものと思われるものが少なくありません。

 第二は、創設される「国地方係争処理機関」の組織と権限が国と自治体の対等関係を十分に保証する機関となっているか、どうかであります。
 法案では、国家行政組織法第8条に規定される一般的な審議会であり、出されるものは「勧告」にすぎません。省庁はこの勧告に拘束されない訳であります。

 第三は、社会保険・雇用保険関連事務を執行している地方事務官の国一元化に関連する問題であります。法案では社会保険・雇用保険関連事務が国の「直接執行事務」とされました。特に、社会保険事務については、これまで国が対処すべきものとしながらも、具体的事務の実施にあたっては、自治体と住民の負担と協力があって、現在、全国に3,300カ所ある市町村役場で国民年金のほとんどの事務が行われています。
 しかし法案で社会保険事務が国の「直接執行事務」とされ、届け書の受付業務以外はわずか310カ所にすぎない社会保険事務所で行うとしております。これには大きな問題があります。
(1)地域の実情に応じたきめ細かなお知らせや相談ができなくなる。
(2)これまで行っていた年金相談などは社会保険事務所に行かなければならず窓口が混乱する、窓口が遠くなる
(3)住民情報を持たない社会保険事務所では年金未加入者や保険未納者対策が進まなくなる可能性が高い。等の問題であります。利用者のなかには高齢者の方も多く、不便を強いることになり、住民サービスが明らかに低下すると思います。

 また地方事務官については、戦後50年間放置されてきた課題であり、今回の改革で地方移管されることが期待されていました。地方事務官は地方公務員とし、関係する仕事は自治体が執行することとすべきだと思います。地方事務官の国一元化については地方分権の流れに逆行し、地方自治の本旨に反するものであり絶対に容認できないと考えます。特に本議会では、平成9年6月定例議会において「地方事務官等の廃止に関する意見書」で都道府県の職員とするよう採択しております。

 知事にお伺いいたします。知事は公務員時代から今日まで長い間 常に、地方自治と関わってこられました。今回の分権改革は、明治以来100年以上にわたって続いた日本の中央集権制度の改革と新たな自治制度の構築を意味し、画期的なこととして評価することができると思いますが、知事は、「地方分権をどのように認識し、今後どのように取り組んでいこうとされているのか」お伺いいたします。
 つぎに福祉保健部長におたずねいたします。社会保険事務が国の「直接執行事務」とされたことにより、数々の問題が生じ、明らかに住民サービスが低下すると思われますが、地方事務官の国一元化に関連する問題を含め県のお考えをお伺いします。

 つぎに介護保険実施についておたずねいたします
 急速に進む我が国の少子高齢社会の中で、高齢者介護は差し迫った最も重要な課題であります。2000年4月には介護保険法が施行されることになります。市町村では要介護認定の受付が今年10月から始まり、保険者としての市町村は介護基盤の整備、事務処理システムの開発・整備、介護認定、保険料・利用料の設定をはじめとする山積する問題に対し取り組んでいますが、自治体間の取り組みに格差がでてきているように見受けられます。また、実施に向けて積極的に介護基盤整備に取り組む必要がありますが、一部には「施行準備が整わない場合は、実施時期を延期することも考慮すべきだ」などの動きもあります。当面する課題は「保険あって介護なし」にならないよう介護基盤整備の一層の推進をはかることではないかと思います。
 介護保険施行時における介護基盤の整備は、市町村が策定した老人保健福祉計画の集大成である新ゴールドプランの達成状況に左右されます。したがって、まず第1に現在の計画の完全達成が求められるところであります。国の平成10年度予算でみてみますと目標値にはかなり近づいていますが、予算と実績の乖離はいまだに大きいようです。 個々のサービスでみるとデイサービス(目標17,000ヶ所に対し10年度予算14,000ヶ所)、在宅介護センター(10,000ヶ所に対し8,000ヶ所)など在宅サービスの基盤整備が、施設やショートステイなどの入所型に比べて立ち後れていると10年度厚生白書でも指摘をしています。
 そこで、福祉保健部長におたづねいたします。宮崎県の新ゴールドプランの達成状況はどうなのでしょうか。介護保険開始に向け、基盤整備は万全なのでしょうか。又、市町村間の格差はありませんでしょうか。 特に医療資源等の少ない町村は人的体制を含めて基盤整備は大丈夫でしょうか。

 次に介護保険に盛り込まれなかったサービスの法施行後についてであります。介護保険サービスには配食や移送サービスなどが対象になっていません。配食サービス(食事サービス)は、栄養面はもちろんのこと高齢者を寝たきりにさせないためにもぜひ必要なサービスです。
介護サービス・福祉サービスを敬遠する人たちにも広く利用されています。
又、移送サービスも大切だと思います。病院や福祉施設と自宅との移動をサポートする体制は高齢者の行動範囲を飛躍的に広げます。今後、高齢者を寝たきりにさせない予防のためのサービスの位置づけが急がれると思います。ますますこうしたサービスの充実が重要だと考えます。今後とも現状維持されていくのか、福祉保健部長におたずねいたします。
 次に、介護保険導入に伴い対象とならない利用者が発生するという問題であります。例えば、寝たきりの介護者を高齢者や障害者が介護している場合、現在は要介護の度合いが低くてもヘルプサービスや施設サービスを受けられます。しかし、介護保険では介護している家族の状況等は勘案しませんから、要介護認定で要介護度が著しく下がり、提供できる介護サービスが低下し在宅では生活が難しくなったり、また、今まで、介護サービスを利用していたのに、来年4月から「自立」と判定されサービスが突然止まる人が発生する可能性があります。特別老人ホーム入所者には5年間の猶予期間がありますがそのほかにはありません。行政サービスの継続性、人道上の配慮などからみても、当面救済措置が必要と考えます。具体的な施策として県はどうお考えでしょうか、福祉保健部長におたづねいたします。

 次に不服申立と、苦情処理の窓口についてであります。今議会に介護保険審査会条例が上程されておりますが、この審査会の設置目的は、利用者が市町村での介護のランクづけに対して納得いかなかった場合に不服の申立を行う機関だと思います。今までは、福祉に面倒をみてもらっていたという感覚でいたのが、今度からは高い保険料を払っているという権利意識が生まれ、自分のランク付けにも関心が高まることになると思います。さて、市町村のランク付けに納得いかない利用者が多数、県の審査会に不服申立に押し寄せる可能性がありますが、体制は十分なのでしょうか。事務局の人的対応を含めて、審査会の体制についておたずねいたします。
 また、苦情や相談の県の窓口はどうなっているのでしょうか。
 市町村窓口にも相当数の苦情や相談があると思いますが、県当局はどのような指導をされているのでしょうか。重ねて福祉保健部長におたづねいたします。

 保険料徴収についておたずねいたします。
 介護保険料はおおかたの人たちは、年金から特別徴収つまり天引きされたり健康保険料に上乗せされ徴収されたりするようですが、都城市でも、第1号被保険者の保険料は約2割の方々が普通徴収、つまり納付書で納めていただくことになるそうであります。しかし、現在の国保税等の収納状況を見るときに、特にこの不況でありますから、大量の未納者が発生するのではないか心配であります。これは最初が肝心だと思います。最初から未納者が大量に発生すると制度そのものが成り立たなくなる可能性があります。
市町村に対する県の指導状況について福祉保健部長よりお聞かせ下さい。

 ゴミ処理の広域化についておたずねいたします
 がんや奇形の原因となる猛毒物質のダイオキシン汚染が今、大きな問題となっています。一部にはヒステリックになっている感もしますがダイオキシンは人類がつくった最大の猛毒なんだそうです。現在、我が国の主な発生源とされているのが、ごみ焼却施設だそうで、厚生白書によれば発生量の8割から9割を占めるといわれております。プラスチック類を含んだ都市ごみや医療廃棄物などがごみ焼却場で燃やされると、猛毒のダイオキシンが微粒子や気体となって大気中に放出されることになります。都市部においては、24時間稼働の大規模な全連続燃焼式焼却炉でゴミを焼却処理する事によって、こうしたダイオキシンの発生が結果的に抑制する事ができます。
 その反面、大多数を占める中小自治体においては、ゴミの排出量が比較的小規模であるため、24時間稼働しない准連続燃焼式やバッチ燃焼式の焼却炉が多く用いられており、低温燃焼時におけるダイオキシン発生が懸念されます。厚生省が平成9年4月に発表したゴミ焼却施設排ガス中のダイオキシン類濃度をみますと国の判断基準を越えていた施設は全体で72施設であり、うち93%に当たる67施設が准連続燃焼式やバッチ燃焼式の焼却炉であります。又、発生する熱の有効利用である発電に限って言えば、全国約1,900のゴミ焼却施設の内、発電を行っているのは10年3月現在、約170カ所に過ぎないという国の報告があります。
 こうした現状を打開する方策として、ゴミ焼却場の大型化広域化が計画されてきました。今までは、ゴミの処理は市町村のレベルで処理をされてきましたが、小規模施設を集約化し計画的に広域化を図り大型、高性能の全連続炉による焼却を進める計画が進んでいます。こうした流れを受け宮崎県においても今年「ゴミ処理広域化計画」が策定されたと考えております。
 そこで生活環境部長におたずねいたします。宮崎県のゴミ処理広域化計画の概要についてご説明いただきたいと思います。また、あわせて広域処理に移行する時期について、おたずねいたします。また、広域処理移行後の施設の運営主体、費用の負担等についてお考えをお聞かせ下さい。

 以上で壇上からの質問を終わります。

再質問
 それでは自席から質問をさせていただきます。

 まず、福祉保健部長におたずねいたします。

 感染症患者が発生した場合、患者の意志に基づく入院勧告制度になったとのご説明ですが、それでは本人の同意が得られない場合はどうなるのでしょうか。
 また、二類の指定医療機関について、都城北諸地区が未指定とのことですが、今後の見通しについて差し障りのない範囲でおたずねいたします。 
  起債残のある隔離病舎施設があるとのお答えですが、それぞれの起債残額をお教え下さい。

 福祉保健部長答弁あり

 ありがとうございました。隔離病舎の起債残の問題で要望いたします。
 都北の隔離病舎が2,800万円 児湯の隔離病舎が1,000万円借金が残っているわけですが、国の都合で法律を変えて施設を廃止する、残ったのは使われなくなった施設と借金 これでは、地方は救われません。
県として、市町村が不利にならないよう国に対し強く要望していただきますようお願いいたします。

 つぎに生活環境部長におたずねいたします。

 ご説明によると県南グループの広域化達成まで、あと12年ほどかかることになりますが、移行するまでの過渡期のゴミ処理、およびダイオキシン対策は、どうなるのでしょうか。お伺いいたします。

 特に古い焼却場の対策は急がれると思います。平成14年12月までに新しい排出基準をクリアしなければなりません。
厚生省のホームページに各施設のダイオキシン類の濃度測定一覧がありましたので、宮崎県内の施設を調べてみました。
10ナノグラム以上の施設が5施設あります。一番大きいところが、残念ながらわたしの地元、都北清掃工場で33ナノグラムであります。
 ちなみに一番小さいのは延岡市清掃センターの0.07ナノグラムでありました。当然、施設の改善や広域化への取り組みは市町村の責任となるところでしょうが、現状では、自治体間の環境に対する意識や、施設の状況等の格差が大きく、今後ともぜひ県としても強力なリーダーシップを期待するところであります。

 また、移行後の職員の処遇についてお願いであります。
 広域化になれば現在の職員の身分の変更等も予想されます。生活環境部の直接の担当ではないでしょうが慎重かつ早めの対応をお願いいたします。

 以上2点につきまして、生活環境部長にご答弁をお願いいたします。

 生活環境部長答弁
 ありがとうございました。
 最後に要望であります。

 介護保険の広域実施問題についてであります。
昨日までの知事、部長答弁で介護保険の実施については、市町村の意向を尊重しながらも広域実施を促進していきたい旨の発言がありました。
 介護保険制度は住民に一番近い市町村実施という目的からいけば安易に一部事務組合、広域連合なりで介護サービスを実施することには賛成
しかねます。地方分権の時代、まさにこの介護保険は試金石になるものと考えます。広域実施となれば、これまでのように県や大きな自治体に
頼りっぱなし。そんな他人任せの自治体がでてくるとも限りません。
 市町村が、他の自治体を意識し、知恵を絞った特徴ある介護サービスを提供する、そういう格好が望ましいと考えます。

 以上でわたしの質問は終わります。


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