www.mitsuyuki.com このページを閉じる
住民自治の発展なくして民主主義なし

満行 潤一は訴えます。

私は、平成10年(1998年)12月に退職するまでの19年2ヶ月、都城市役所に勤務し、主に福祉分野の現場で地方自治の勉強をして参りました。この間、地方と中央政府とのいびつな関係、都市部と地方のサービス提供の格差など、国の政策制度の誤りによる地域格差を目のあたりにし福祉の現場で悩んできました。以下、地方自治の改革とは何を目指そうとしているのか、国と地方自治体とのあるべき姿について提案します。

自治体の自己改革

今春(1999年)4月に行われる統一自治体選挙は今世紀最後の選挙です。勤労市民にとって、日々の生活の場であるこれまでの地域の社会、文化、政治、経済を見直し、何を改革し21世紀に引継ぎ、創造し、発展させるか。今世紀に残された価値ある貴重な政治選択の機会です。 私たちの先輩たちははこの50余年の間、日本というこの国、少なくとも1945年まで住民自治の確かな歴史を持ってこなかったこの日本で『住民自治の発展なくして民主主義なし』と考え、憲法に初めて明文化された「地方自治」を住民自治の観点から肉付けすることに努力してきました。
いうまでもなく自治体政治は直接民主主義による議会、首長の二元的政治制度を特徴とし、その意図するところは相互のチェック・アンド・バランスにあります。にもかかわらず80年代以降の自治体政治は、運営においても制度においても多くの自己改革や制度改革の課題が誰の目にも明らかとなっています。運営面で見れば、オール与党ともいえる状況が数多く見られることで議会は有権者の付託に充分応えていないこと。今日、住民投票が各地で要求され実施されるのもここに一因があります。また、情報公開条例の制定はいまだに全自治体の8分の1(約400自治体)にとどまり、そのなかでも議会情報の公開にいたっては微々たるものとなっています。多<の自治体で公費の乱用が市民的追求に会っているのは情報公開条例の意義を示すものであると同時に、これが全自治体で制定されるならばその意義はさらに大きいものとなるはずです。さらに議会審議の全面的公開や議事録の作成公開、質問者の実名入りの広報《開かれた議会》が日常化すれば、市民、議会、首長の相互監視、相互の政策提案の土台が作られ住民自治はさらに豊富なものとなるはずです。

制度面においても改革すべき多くの課題を負っています。それは「多角的・多重的」住民自治制度の創造です。多くの市民が多様な場で多様な方法で自治体政治に参画し自己決走する制度。それが「多角的・多重的」制度の意味です。具体的には、(1)住民投票制度 (2)政策評価システム (3)行政の主たるサービスごとに市民の苦情を受け解決していく市民のオンブズパ一ソン(特に公的介護保険制度には不可欠)(4)税財源の自治体委譲、等々の制度がそれです。市民の自己決定権の保障こそ地方分権の意義であり、そうした意義を具体的なものとするために以上のような参画手段がまず保障されなければなりません。 私は、市民との協働によって自治体政治におけるこのような自己改革と新たな制度改革を進め、21世紀日本の住民自治の扉を開く決意です。

明日の地域・自治体像

私たちの地方分権を基礎とする自治体運営の自己改革や新たな制度改革では、21世紀日本の地方自治の序章に過ぎません。内外の社会情勢の変化は、国家としての日本のあり方はもちろんですが、地方自治にっいても大きな変革を求めています。この変革を明確に示すこと。そこに今次統一自治体選挙の最大の争点があります。

◎市場経済に対する社会的制御を強め、人間性の復権と勤労市民の不安なき生活向上をはかります。

1990年のソ連・東欧圏の崩壊は資本主義の市場経済を地球全体に拡大しました。いわゆるグロ―バル化といわれるものがそれです。しかもこのグロ―バル化はヨ−ロッパと違って、日本では弱肉強食の典型ともいえるアメリカ的市場経済を特徴としています。アメリカ的経済基準(アメリカン・スタンダ―ド)が日に日に日本に浸透し拡大する結果、今やこの国では市場経済万能論と「規制緩和」が闇歩する社会状況となっています。しかし市場経済にすべてを任せ、そのため中央政府や自治体の役割を大幅に縮小、再編することで、果たして市民生活の「安心」、「安全」、「安定」は確保されるでしょうか。いや、中央政府や自治体の役割を縮小・再編し、すべてを市場に任せることで社会的経済的最適基準は確保できると考えるのは幻想に過ぎません。それところか賃金は引き下げられ、雇用は不安定化し、公的サービスは市場に切り売りされ、市氏生活に残されるものは生活への不安であり、人間関係はますます希薄なものとなるだけです。このような、市場経済万能主義に対し、私たちは社会的制御を強め、人間性の復権と不安なき生活保障に全力を挙げます。

◎勤労市民の連帯と協働で地域公共空間を創造します。

「学び」「育み」「働き」「楽しみ」「助け合い」「創造する」場。それが地域であり、そのような人間の営みの織り成す空間。それが地域公共空間です。バスを始めとする地域公共交通の衰退、子供を落ちこぼす教育、障害者が自由に歩けない町、時間をかけて作り出されてきた地域の伝統技術や文化・芸能の衰退、農業・林業の衰退、既存商店街の空洞化など地域がもつ様々な資源や環境が効率主義によって切り捨てられ、市場競争に投げ出されています。私たちは、勤労市民の連帯と協働によって市場経済に対する社会的制御をはかり、荒廃する地域を建て直し、地域公共空間の充実・発展をはかります。

◎自治体を市民の管理機関から共同調整機関に改革します。

自治体の役割は、市民福祉の向上であり、市場経済による社会的マイナス経済から市民を守ることにあります。しかし地球規模で浸透する市場経済は、自治体の行政のサ―ビスにも広く及んでいます。生活手段である水道にも民営化論が叫ばれる今日です。他方、私たちが長年要求してきた地方分権は、自治体を中央政府の一機関と見立てる「機関委任事務」制度の廃止と中央政府の自治体に対する通達行政など「関与」の縮小を中心に計画的に推進されることになっていますが、肝心の自治体の自主財源の保障にはいたっていません。それどころか市民の自己決定権の保障手段としての地方分権は、自治体と市民の自己責任・自助努力に変質させられる危険性さえあります。 私は市民の自己決定権と地域民主主義の充実の手段としての地方分権を一層強力に進めます。そして勤労市民の連帯と協働による地域公共空間を創造するため、自治体をこれまでの市氏管理機構から市民にすべての情報と行政技術を公開・提供し、市氏の連帯と協働をコ―ディネイトする協同の調整機関に転換します。

◎自治体改革の主役……それは勤労市民です。

自治体改革はすぐれて地域・自治体を舞台とする政治闘争であり、市場経済万能論のはびこる中で今次統一自治体選挙は、この市場経済万能主義から市民生活を守るか、それともますます人間を企業に従属させ孤立化させることですべてを自助努力の世界に追いやるか、の選択をめぐる極めて先鋭な政治闘争の性格を帯びています。しかしこの間の政党の再編過程が生み出した政党地図は、こうした性格と争点を持つ統一自治体選挙とは大きくかけ離れた状況となっています。新・旧保守主義と新自由主義(ネオ・リべラリズム)の政治潮流が自民党、自由党にまだら模様となって混在する実態からは、私たちが主張する自治体改革の今日的意義と課題は提示されません。それどころか新たな政党再編を目指した議員獲得競争に明け暮れ争点がわい小される危険さえあります。これでは、地方自治=市民福祉、民主主義の土台として、これまで述べてきたような自治体改革の今日的課題はどこからも生まれてはきません。自治体改革の主役はあくまでも地域の勤労市民です。私はこうした市民との絆を深め、協働・連帯して市場経済万能主義に対し地域・自治体から社会的制御を進めます。
私はこのような政治理念のもと県議会で頑張ります。皆さんの絶大なご支援をお願いします。

www.mitsuyuki.com このページを閉じる