社民党県議団県外調査(2009年5月13〜15日)
長野県小川村にある高齢者雇用の場「おやき村」や長野県庁を調査のため訪問しました。
おやき村は、長野市から西へ20km北上し国道から南へ2km程入った集落、久木本郷の峰という峠にあり、大変不便なところでした。小川村は人口約3,100人で、過疎と高齢化に悩む地域で、昔は米も余り採れず、麦や豆の粉で練った中に野菜などを詰めて焼いて食べていた郷土食「おやき」などを食べていたとのことです。それを逆手にとって売り出し、現在は8カ所で「おやき」のほか野菜混ぜご飯などを作って販売しているとのことです。
同社は、過疎化の進む地域の将来を憂い、熱意ある7人の仲間が地元の素材と伝統、さらに労働力を活用した「新しい村づくり」を目指し、村、農協、そして仲間ができる事(知恵、労力、お金等)を持ち寄って、地域ぐるみで地域高齢者の雇用の場として1986年(昭和61年)に創業。
「地元の高齢者が畑に出るような感じで歩いて通える範囲の人たちが集まって働く」ことができるよう、創業者の住まいを改造したり、空家を利用するなど「分散型の工房づくり」をすすめ、現在では新工場も設置しています。
長野県の医師確保対策とドクターへリ運行事業について
長野県の医師確保対策について、衛生部医療政策課担当から現状等をお聞きしました。医師数は、人口10万人あたり全国平均2,063人を下回り33位の1,900人で、10医療圏中信州大学のある松本を除いて全国平均を下回っています。又、病院勤務医は内科139人、整形外科54人など計608人が不足しており、産科医が急減している状況です。医師不足の主な原因は、医師養成数の制限や医局の医師派遣機能の低下などであり、本県と同様であると思われます。
特に目に止まるのは(1)ドクターバンク事業が医師確保対策室で実施されており、病院訪問への同行や住まいや保育園の案内調整も行われていることです。(2)新年度から3,000万円の予算で信州大学医学部に県の寄付講座が設置され、即戦力医師の養成・確保の実践的研究や地域医療確保・医療供給体制構築に関する研究が始まっています(講座名(仮称:地域医療推進学)、開設時期(3年間2009年〜2012年度)(3)県主催のシンポジュームを開催し県民への啓発行っています。
ドクターへリ運行事業について衛生部医療政策課の担当から現状等をお聞きしました。ドクターへリ運行事業は、2005年7月より事業を開始し、JA長野厚生連佐久総合病院に委託しています。運行業者は、中日本航空・朝日航洋、セントラルヘリコプターサービスの共同運行で、スタッフは佐久総合病院医師5名・看護師7名で毎日各1名が搭乗し、運行業者スタッフは操縦士1名、整備士1名通信担当1名となっています。出動件数は年間350件程度。補助基準額は1億6,982万円で国・県が各2分の1。費用は多額ではあるものの、県民に計り知れない安心感を与えているとのことでした。
長野県の台湾の訪日教育旅行受け入れを調査
長野県の国際観光事業、特に台湾学生の訪日教育旅行の受け入れについて、観光部観光振興課の担当から現状等をお聞きしました。
長野県では、外国人観光客の誘致を促進するため、観光部と教育委員会が連携して、台湾・韓国・中国など海外からの訪日教育旅行の受け入れを推進しています。昨年10月には、台湾の教育関係者13名を県内視察に招き、学校訪問、リンゴ狩り体験や観光地視察を通じて長野県の魅力を紹介するなどしており、その結果、平成19年度に長野県を訪れた訪日教育旅行は、37団体2,036人、20年度は40団体1,973人となっています。また、台湾政府と台北市が主催する訪日教育旅行研修会へ参加し、長野県観光・教育旅行の説明や商談会を行うなど、ユニークな取り組みが行われていました。教育委員会との連携など注目すべき取り組みに感心しました。