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カジノ考(2001年2月5日)

 いま、宮崎では「シーガイア」救済・観光振興の観点などから、「カジノ」合法化・誘致に向けた動きがあります。「カジノ」と一口に言っても各国での運営状況については法制化を含め様々のようです。宮崎の推進団体等がどのような「カジノ」を想定しているのか現時点では明確になっていませんので、ここでは広義ギャンブル(賭博)である「カジノ」について私の考えを述べてみたいと思います。

ギャンブルには反対
 私は、ギャンブル(賭博)には反対です。それにはいくつもの理由があります。その反対の理由をいくつかをあげてみたいと思います。
「国連加盟185カ国中すでに113カ国でカジノを合法化」したとの話も聞きますが、「合法化」しなければならないのはなぜでしょうか。それは、どの国もギャンブル(賭博)は法律で禁止され例外的にある種の「ギャンブル」が厳しい条件の下に許可されているからではないのでしょうか。基本的にどの国もギャンブルは認めていないが例外的に一部の賭け事を条件付きで許可している、そういうことではないでしょうか。日本でも賭け事は禁止されています。例外的に競馬、競輪、競艇などが特別法により許可されています。

  • (参考) 刑法第187条(富くじ発売等)富くじを発売した者は、二年以下の懲役又は百五十万円以下の罰金に処する。2 富くじ発売の取次ぎをした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。3 前二項に規定するもののほか、富くじを授受した者は、二十万円以下の罰金又は科料に処する。
    *特別規定(法律で認めている場合=当せん金附証票法、競馬法、自転車競技法、小型自動車競走法、モーターボート競走法)

 なぜ、ほとんどの国でギャンブルが禁止され、例外的に条件付きで許可されているのか。それは、ギャンブルがその国(地域)の人々の健全な社会の営みを阻害すると見なされているからだと思います。ギャンブルは射幸心を煽る。一攫千金を夢見それにのめり込む人々がいて、家庭や地域に悪影響を及ぼす。だから禁止をしている。しかし、厳しい条件を付け規制をして悪影響を最小限に押さえられる範囲だったら例外的に許可をする。また、国によっては大事な外貨獲得の手段として外国人だけを対象にするとか。それが「百十数カ国で合法化」していると言うことではないのでしょうか。

強者の理論に反対
 私は、市役所の福祉事務所に勤めていた時期があります。市民のなかにはパチンコや競艇などの賭け事が理由による家庭崩壊、生活苦など辛い思いをしておられる方もおられました。すべてギャンブルが原因とは限りませんが賭け事に夢中になり家庭が犠牲になる人々がいます。「カジノ」合法化を唱える人々はそんなことにはならないのでしょうが、この世には社会性を捨て誘惑に負け賭け事に興じる人々もいます。「カジノ」合法化を唱える人々は「強者の理論」だと私は思います。またいま、「17才の犯罪」をはじめ青少年を取り巻く環境が大きくクローズアップされています。大人の責任としてこれ以上風紀を乱していいものなのでしょうか。今急がないといけないことは秩序ある社会環境の整備ではないのでしょうか。子供に与える影響を考えると我が子を持つ親としても認めることはできません。

「カジノ」を見てきました −韓国のカジノ経営も厳しい−
 2001年2月、私は同僚議員達と初めて「カジノ」を見てきました。韓国釜山(プサン)広域市で、市役所とカジノの担当者に話を伺い、実際にプレイも体験しました。釜山は人口400万人の韓国第2の都市で、パラダイスグループがホテルに外国人専用「カジノ」を開設しています。
面会した釜山広域市文化観光局長は、私たちの質問に対し「日本のパチンコの現状も認識している。韓国民は、ギャンブルに対し強い抵抗を持っており、外国人以外(内国人)に解放する気持ちはない」と説明していただきました。「カジノ」の悪影響については「内国人が入れないので今のところ特に問題はない」とのこと。またパラダイス釜山の国内販売係長は「国内のカジノ13カ所のうち2−3を除いて経営は赤字だ」と話されていました。ということは、日本でも「カジノ」を開設しても成功するとは限らないということではないでしょうか。日本のパチンコの与える悪影響については韓国でもかなり研究されているようでした。(韓国にはパチンコは許可されていない。)実際の「カジノ」は明るく社交場的雰囲気でした。入り口でのパスポートの提示が義務付けられており外国人だけしか入場できない仕組みになっており、完全に外部から隔離されています。

「カジノ」誘致はシーガイア再建とは別の次元の問題です
 厳しい経営状況が続くシーガイア、国内経済の悪化に伴う県内観光地の苦境、宮崎の観光は本当に大変な状況です。私たちもシーガイア再建、観光宮崎浮上のためにいくつもの提言をしてきました。これといった即効性のある対策が見あたらない状況もあります。しかし、「カジノ」誘致とシーガイア再建・観光の振興とは別の次元の問題だと思います。集客の手段として「カジノ」誘致もあるかもしれませんが、韓国の例でも決して経営は順調ではありません。かつてシーガイアもリゾート法の第1号指定でしたが、その後全国につぎつぎにリゾート法に基づく類似の施設ができ現状に至っています。宮崎の「カジノ」がその轍を踏まないと誰が断言できるのでしょうか。宮崎の観光振興は、県民みんなが知恵を出し合い「太陽と緑の国」を看板に豊かな自然環境を生かした真の国際観光都市をめざそうではありませんか。

「すでにパチンコがあるから認めていいではないか」論に反対
 「善良の風俗又は少年の健全な育成に与える影響が著しいまあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」は風俗営業法により規制されています。法的にはパチンコは賭博の部類には区分されていません。「すでにパチンコがあるからその延長線と考えれば良い」との意見も聞きますが現状のパチンコがすでに加熱しています。パチンコは誰でも楽しく遊べる健全娯楽として広く国民に認知されています。これ以上のギャンブルは必要ないと思います。パチンコ容認論にもとづく「カジノ」推進論では良識ある国民は納得しません。


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