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口蹄疫発生に伴う諸課題の解決に向けて(2000年4月12日)

 3月25日、国内では92年ぶりとなる口蹄疫が、宮崎市富吉において確認され、県を中心に、市町村及び農業団体等が一体となって、家畜伝染病予防法に基づく防疫措置等を実施してきましたが残念ながらその後隣接する高岡町で続けて2件の農家で新たに疑似患畜が確認されました。

 現在、宮崎市富吉の農場を中心とした20km県内を汚染地域とし、半径20kmから50kmを警戒区域として生きた家畜等の移動を制限しています。
移動制限等の措置により、県内の家畜市場は閉鎖され、家畜の出荷ができず飼料代等コストの増加や商品価値の低下、牛肉の買い控え等、生産・流通・消費の各段階において多大な影響が出始めています。今回の口蹄疫間題は、「畜産王国」宮崎の死活に関わる重大な事態であるため、早急に対策を講じる必要があります。
 現時点での問題等を私なりに整理してみたいと思います。

(1)畜産農家の資金等の支援
 新たな患畜の発生で移動搬出制限の期間が5月上旬まで延長され、長期間競り(せり)をはじめ家畜の売買が不可能となり畜産農家の資金繰りが悪化しています。関係農家に対し今回新たな融資枠が発表されましたが、これとて3か月後には償還が始まります。3か月後に市場が正常化している保証もなく返済のめどの立たない融資は受けられません。本来、この伝染病発生に伴う畜産農家の過失は全くありません。農家にしてみれば正に「災害」そのものです。このような損失は国の補填(限りなく100%)があって当然だと考えます。早急な資金等の援助が求められます。

(2)一日も早い信頼回復をー
 「畜産王国」宮崎の打撃は畜産農家だけではありません。食糧供給基地宮崎は飼料加工企業(農協なども含む)も数多く、従事している人もかなりの数です。また、宮崎行きを遠慮するなど観光産業にも影響が出てきています。一日も早い安全宣言が待たれます。しかし、安全宣言が出たとしても消費者の牛肉離れは当分続き、肉の価格の下落が長期化する可能性があります。安全性をPRすればかえって不安を煽るという現象も報告されており、風評被害対策は容易ではなさそうです。根気よく流通関係者及び消費者に宮崎牛の安全性を訴え続けるしかありません。

(3)飼料米、稲ワラ等国産粗飼料の安全かつ安定的な供給体制の確立
 伝染病は感染源を絶たなければいくら消毒や血液検査をやっても終息できません。消費者の信頼回復のためにも飼料をはじめすべてを国内産で供給すべきであります。今回感染源を疑われている「麦わら」は口蹄疫が流行しているアジアからの輸入品であります。一方、米の産地東北地方のわらはコストが高いということで取引がなく焼却処分をしているという現実があります。国内産を使い少々コストが上がっても安全な肉を消費者に提供することが今一番大事なことではないでしょうか。
また、海外からの口蹄疫侵入防止のための措置を強化するとともに、その根本的な治療法・薬剤等の開発・研究の強化に努めることを求めたいと思います。


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