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宮崎県ごみ処理広域化計画を考える

−一循環型経済社会づくりを目前に一一

はじめに

 ごみ焼却から排出されるダイオキシン、焼却灰埋立で処分場から浸出するダイオキシンを含む環境ホルモン、先日の医療廃棄物産廃のフィリッピン不法輸出など、一般・産業廃棄物を間わず今や国を挙げて政治問題化している。
 1977年、オランダのオリエ氏が清掃工場からダイオキシンを検出して以来、EU(とくにバルト海沿岸)諸国のいち早い規制を外圧として、対策の立ち遅れていた我国も、96年以来清掃工場・処分場の全国実態調査と公表にふみきり、排ガス中の緊急・ 恒久対策基準制定と削減対策の通知、「ダイオキシン対策法」の施行など相次いで規制に乗り出したことは御案内のとおりである。
 その削減対策通知(97年1月厚生省水道環境部長通知)を受けた県は、99年3月「官崎県ごみ処理広域化計画」を策定し、その後、県北・央・南3グループで説明会を実施し、9月県議会での質問に対し、生活環境部長は「各市町村はすでに合意している」と答弁している。その後県は、今年1月、焼却施設の基本設計や広域処理に係る各市町村の財政負担割り当ての策定に着手したということである。
 一方、政府(事務局環境庁)はごみ抑制を最優先とする「循環型社会基本法」を、また、与党3党も同様の法案を今国会に提出する情勢にある。このような廃棄物政策の動きを追跡してきた自治研は、県の広域化計画と循環型社会づくりの間に重大な不整合のあることを捉え、10月、ごみ処理広域化計画検討会を立ち上げ、視察と検討を重ね一応のまとめを得るに至った。
 ここにその結果を公表し、大方の御批判を仰ぐものである。

2000年1月28日

宮崎県地方自治問題研究所
ごみ処理広域化計画検討会

1 宮崎県ごみ処理広域化計画について

 「計画概要」はく資料2>にあるのでご覧頂きたいが、さらに要約すると、「策定の趣旨(見込まれる効果)としては、ダイオキシン削滅(サーマルを含む)、リサイクル推進、処分場確保、公共事業コスト縮滅の諸課題解決と適正なごみ処理推進」があげられている。
 「計画期問は平成10年から概ね15年間、県内を県北・県央・県南の3グループ、7プロック(延岡・西臼杵、日向・入郷/宮崎・東諸、西都・児湯/都城・北諸、西諸、日南・串間)に分け、それぞれのグループに概ね300トン/日程度の灰溶融+焼却またはガス化溶融方式で、サーマルリサイクル推進のために(ごみ)発電施設・設備を整備する」となっている。
 また、各ブロックの具体的整備計画も添付されていて、「焼却発電施設は、日処理量が県北グループが390トン、県央600トン、県南400トンとなっており、焼却施設を置かない他の4ブロック(日向・入郷、西都・児湯、西諸、日南・串間)には中継施設として、コンパクタコンテナ(ごみ圧縮)施設、またはRDF(ごみ固形燃料)施設を整備し、ごみを滅容した後大型トラックに積み替えて焼却施設まで運搬する」ことになっている。(RDF施設はその後の検討で除外されたようである)
 さらに、全ブロックにリサイクルプラザ、最終処分場の設置が計画されているが、詳細は不明である。

2 視察及びヒアリング報告

 検討会が抱いた疑問の一つは、今回の「広域化計画」に関して、九月県議会における生活環境部長の「各市町村の合意を得ている」とする答弁であった。市町村が十分な検討の結果、本当に合意したのだろうか。そこで、6自治体等の訪問とアンケート調査を行なった結果、次のような結果を得た。

(1)計画の説明・検討が不十分
 県は、県北・県央・県南の3グループで計画概要の説明会を行なっているが、その出席者からはほとんど質疑は出ず、また質疑等が出せる雰囲気ではなかったという感想であった。その理由として、
・県が策定する計画だから、実施についても県が中心になって進めていくのではないか。
・県からの財政的支援が受けられるのではないか。
・10年先の計画に、首長・議会・担当課もあまり切実感はない。
等が聞かれた。
 その後、各ブロック(地区ごみ対策協議会)での協議が始まっているが、
・過渡期の対応をどうするのか。
・今後の具体的内容をどのようにしていくのか。
といった協議に終始し、具体的には進んでないのが実情である。

(2)計画策定時点で疑問の声
 計画は、過大なごみ排出が今後も継続することを前提に策定しており、それが大型焼却施設の建設につながっている。ごみ排出量予測で気になったのは、県が「排出量は各市町村が提出したデータを積み上げたもの」と説明し、自治体担当者は「データはコンサルタントへ直接郵送した」、「計画策定はコンサルタントでされ、チェックがどれだけあったかは分からない」と語っていることである。この計画を見ると、人口推移がかなりの人口増で策定され、ごみ排出量も、容器包装リサイクル法の施行にともない減少しているのが現状であるのに対し、今後も増加するとして策定していることへの疑問も語られている。

(3)容器包装リサイクル法完全施行でも、市町村に格差
 この4月、「容器包装リサイクル法」が法律上は完全施行予定であるが、その取り組みについて県が実施した調査では、完全・ほぼ完全実施の自治体がある一方で、未計画や詳細不明(一部事務組合任せ)という報告をした自治体が多く見られた。このような実態で、県計画の広範囲の処理計画の検討、推進ができるのか疑問を持つところである。
 また、計画実施に伴う各自治体で新たに発生する財政負担、収集運搬体制の確立、処理・処分の流れの変更、またそれに伴う職員の勤務条件等の変更などへの認識が薄いのではないかと感じられた。

3 変貌するごみ処理政策
(1)覆ったごみ行政
 すでにご案内のとおり、過去100年日本の廃棄物対策は「焼却と埋立て」で進んできた。ところが、国際的な環境志向から行政・市民・事業者とも関心の高まりを見せ、ダイオキシンや環境ホルモンなどの環境面で安全に配慮が必要になった。一方資源面では、石油など資源の大量輸入に頼りながら、たった1回の消費で大量廃棄する資源浪費型社会を考えると、ごみ行政は両面から早急に変革の必要に追られていると言わなければならない。

(2)循環型経済社会づくりへ足並み
 環境庁はドイツ・フランスなどを手本に「循環型経済社会づくり」を我国に生かそうと、96年「日本版循環型経済社会づくり」を提唱し、曲折はあったものの99年になってようやく厚生・通産・建設・農水など各省の協力合意を得、今通常国会に「循環型社会基本法」案を上程する予定である。末曾有の経済不況の中で、ごみ抑制・再使用・リサイクルなどいわゆる「3R」は、不況回復を遅らせる不安材料と見られてきたが、経企庁は循環型経済が経済成長に与える効果の予測シミユレーションを行なったようである。その結果、現状推移型シナリオでは「廃棄物処理」につまずき、2010年ごろにマイナスに転じるのに対し、循環型シナリオではGDP1.5%の安定成長が維持できるという結果であったという。
 これを受けて、昨年8月閣議決定された「新経済ビジョン」に循環型経済社会構想が盛り込まれた。
 また、厚生省水道環境部は「廃棄物行政プロジェクト報告書」を生活環境審議会廃棄物部会へ提出し、この中で今後の廃棄物処理の方向として、「廃棄物をこれまでのように焼却して埋める社会から、再生可能な資源として活用する社会へ転換する」とし、「止むを得ず処理する廃棄物は、将来の技術開発による再資源化の可能性も考慮に入れつつ、引き続き安全性に万全を期して処理する」としている。つまり、焼去却は熱回収はできても、もはや物質には返らないことは自明のことであり、従来のごちやまぜ埋立ても再資源化のはなはだやりにくい処理法である。「分別保管」埋立て方式なら、鉄屑でもプラスチックごみでもいつか再生できると私達は考えている。
 このように今後曲折はあるにしても、今や循環型経済社会づくりへ急ピッチに進んで行くことは、環境の時代の趨勢として捉えなければならない。

[用語解説]
●循環型社会
大量生産、消費、廃棄の経済社会を改め、環境負荷を最小限にするごみ抑制、再資源化によって、持続的に発展可能な社会を構築すること。!
●3Rとは
発生抑制(減量)Reduce、再使用Reuse、再資源化(Recycle)の文字をとって3Rという。

1 県計画の問題点

 このように見てくると、県の広域化計画は97年の部長通知当時のダイオキシン対策だけを忠実になぞったもので、その後の「循環型社会づくり」を念頭に置いたものでないことが分かる。
 「木を見て森を見ず」。確かにダイオキシン間題は緊急かつ重要課題ではあるが、ごみ問題の一要素に過ぎず、その対策だけに汲々となるあまり背後の巨大な廃棄物問題を失念していることに気付くのである。

(1)「循環型経済社会づくり」が視野に入っていない
 県内ごみ行政の大転換期を前にしては、今回の計画は循環型経済社会づくりへの決意が薄く、その方向への具体的数値目標もない。あるのは小型炉の集約を狙った大型炉とダイオキシン低減のための高温連続焼却施設整備の年次計画、焼却ごみ量確保のための遠距離運搬の手立てに過ぎない。これは従来型大量廃棄社会をそのままにしたダイオキシン対策だけの計画と言わざるを得ない。
 県民が期待しているのは、資源循環型社会づくりに向かう県の確固たる姿勢と実現に向かう具体的方法と段階的数値目標である。いくつかを例示してみよう。
 まず、ごみの大幅削減についての政策がない。これには、政府がやるべき全国的課題(再生型商品設計、デポジットシステム、グリーン税制など)があるが、県内における紙の抑制や再生、生ごみ飼料化・堆肥化・バイオガス化などの資源化政策、容器包装の過剰規制の条例化など取りうる政策はかなりあるはずである。
 次に、埋立て処分場についてこの計画を転機とした画期的構想が全く感じられない。従来となんら変わることない処分場整備計画である。例えば、今後やむなく処分する廃棄物も、将来の技術開発までの保管所として分別埋立てをするとか、生活有害物(農薬などの空き缶など)は自治体専用車による回収と無害化処理後の埋立てなど安全と資源配慮の方針である。
 県民は、県の姿勢と計画に触れ、理解を深めることで、県への信頼と自らの意識を高めることができる。逆に、せっかく分別した再使用、再生資源までが、焼却ごみ確保のために焼却に回されるようなことが起きると、住民のごみ抑制や分別の意識は急速に薄れ、行政不信を招くことになる。
 さらに、再使用、再生資源の収集には広域化を進めるべきであるが、ごみ処理はできるだけ目の届く範囲で行なわれることが望ましい。あまりにも広域の処理処分は、往民にも子供にも「環境」への意識を育てない。ごみは環境教育の格好の材料であることを再認識し、環境と資源の両面から意識改革を気長に展開すべきである。

(2)焼却ごみ発生を過大に予測している
 計画書の第4節(2)「ごみ量予測」を見ると、総ごみ・焼却処理量とも増大が顕著であり、当初の7年間は年率2−3%という高水準で推移している。この予測は、(株)全国都市清掃会議による「ごみ処理施設構造指針解説」の予測方法によったと述べられている。少し具体的に見ると、県央グルーブの96年度の焼却ごみ排出実績は日量335トンである。一方、施設規模の算定には、整備目標年の7年後の予測量から算出する事になっている。県央グループでは、目標年2009年の7年後2016年のごみ排出を日量444トンと予測し、稼動日数(×365/280)等を考慮し、規模600トンとはじき出した。20年間に焼却ごみは110トン(約30%)増えると予測するのである。
 従来型社会構造であればこの予測でよかったかも知れない。しかし、処理施設の供用開始は8-11年先であり、その後20−25年の耐用年数を考えると、その間の「循環型社会づくり」とごみ削減傾向まで、この予測方式はインプットされているとは思えない。例えば、現在多くの自治体で焼却されている紙ごみやプラスチックごみ、生ごみ・樹木せん定くずも、容器包装リサイクル法・家電リサイクル法の施行や有機廃棄物リサイクル法(農水省法案化中)によって、数年内には削減が予想されることや、またその方向に政策誘導すべきことではないかと考える。過大予測によって建設された大型施設は、耐用期間中連続稼動するだけの可燃ごみの確保が要求され、ごみ抑制を目標とする循環型社会づくりと逆行することになる。
 このように大型炉であればあるほど予測は慎重であるべきであり、各市町村の財政負担を考慮すれば、県計画にあるような「随時見直し」を行なえるほど簡単なことではない。

(3)計画は従来の焼却主義の拡大版である
 県計画には広域化の効果として「サーマルリサイクル」があげられている。ごみ排出予測量から見る限り、焼却ごみは全量ガス化溶融し、発生する熱を有効に回収利用しようとする方向である。市町村が巨大な整備費用さえ捻出すれば、行政も住民も分別指導や分別の手間がかからずにすむという着想であろう。
 ガス化溶融炉は約40年前に技術輸入されたものの、その後ストーカ炉時代が続き日の目を見ることはなかった。今回、ダイオキシン(排ガスと焼却灰)の対策炉として再登場、高炉メーカー数社が開発、売り込みに躍起となっている。このため、稼動中の炉でのデータがストーカ炉に比してごく少なく、選定の困難性を抱えている。
 ガス化溶融炉の問題点をあげると、
 (1)対策炉というが、高温処理のために、炉の後にバッグフィルター、さらに触媒反応塔が必要で設備費が高額である。
 (2)スラグ(鉱滓)の用途に路盤材があげられるがそれ程の需要はなく、混入する有害重金属の酸性雨溶出が懸念される。
 (3)ごみはなんでも処理可能というふれこみは、「資源消滅型技術」と同意語であり、ランニングコストの掛かる「税金浪費型技術」である。
 (4)安全性が不透明で、ガス化段階のガス漏れや爆発がドイツ各地で発生。
 (5)各地で大手プラントメーカーの利権の噂、とくに一廃・産廃共同処理場やPFI(民間資金活用公共事業整備)の好餌食となる。
 (6)過酷な作業条件(約1300℃)と複雑な技術ノウハウのため、直営を放棄し作業委託をせざるを得ない。
 ドイツでは、焼却炉は「毒物生成装置」という考え方があると聞く。これだけ高温になると、ダイオキシンや重金属が集塵装置をガス状で通過したり、たとえ抑え込めたとしてもさらに高温で生成する有害物への懸念があり、削減の厄介な窒素酸化物(サーマルNOx)の生成も避けられない。
 「焼却発電」や「熱回収」という言葉に安易に惑わされるべきではない。

(4)詳細な計画はどこで策定されるのか
 計画の収集運搬計画の項に、「今後、広域化を進めるに際しては、より詳細かつ適正な収集運搬計画を策定することにより、収集運搬距離の長距離化に伴う経済的課題や環境負荷の低減に努める必要がある」との記載がある。このことから、詳細な計画策定が行なわれなければならないが、すでに県は、官崎市、都城市、延岡市の3カ所に焼却施設を建設することを前提として説明会を行なっている。
 ここに疑問がある。
 ごみ処理は自治体固有の事務であるから、その基本計画は各自治体で策定され、すでに実施計画の公表も行なわれている。従って、自治体の基本計画と県の今回の広域化計画との間の整合性や実施可能の是非の検証、実情に合う計画見直しをやるべきである。

(5)既存の清掃工場と職員はどうなるか
 県内には、23カ所の清掃工場があり、直営、民間委託合わせて約250名の職員が従事している。今回の計画で、グループ拠点3カ所に焼却発電施設、ブロック拠点4カ所に中継施設(コンパクタコンテナ施設)、西都・児湯プロックを除く6ブロックに再生資源集積分別施設(リサイクルプラザ)が整備され、該当市町村内の収集運搬に加えて、グループ拠点までの大型車での遠距離搬送業務が課せられることになる。計画完成年次には、既存の全ての清掃工場は閉鎖され、新しいごみ処理主体へ運営が移ることになる。
 さらに、施設の変更にあたって職員の問題を考えなければならない。中でも、焼却発電施設としてガス化溶融炉が考えられているが、諸種の方式による作業条件に違いがあるものの、共通しているのは溶融工程における温度である。既存のストーカ炉と違って1300度を超す高温溶融は、鉄鋼生産の高炉作業に匹敵し、併せて技術的問題から運転管理をメーカーヘ委託せざるを得ない状況にある。既存の焼却炉担当職員の職場が奪われ、人員削減につながる重大な問題である。
 今回の計画には、新ごみ処理の運営主体や職員の間題には触れられておらず、2の視察報告で指摘した市町村の関心格差を考えると、各ブロツク(ごみ対協)での協議の遅れが危惧される。

2 計画への提言
 これまで、「ごみ処理広域化計画」の問題点を述べてきたが、今後のごみ行政、ごみ処理がどうあるべきか、検討会の考え方について提言したい。

(1)県内でも独自の「循環型社会づくり」を
 すでに御案内のとおり、政府にもようやく環境と資源問題の解決をめざす「循環型社会基本法」ヘの取り組みが始まったが、各地の先駆的自治体でその取り組みが行なわれている。例えば北海道では、ごみ減量化やリサイクルを総合的、計画的に進める「ごみゼロプログラム」を策定し、循環型社会への転換をめざしている。
 本県も昨年来、ISO14001(環境管理)の資格認証に向けて動いているが、これは県自身が「環境にやさしい自治体」をめざす取り組みとして評価したい。しかし、その方向へ努力するのであれば、「大量のごみを燃やして埋める」という今回の方針の前に、本県独自の「循環型社会づくり」のために、ごみ抑制を最優先し、再使用、資源再生の3Rを推進する具体的、年次的達成目標を提示すべきである。

(2)廃棄物を含む環境教育への取り組みを強化すべきである
 ごみ・エネルギーなど環境保全の先駆的な取り組みがドイツなど北欧諸国で進められ、世界から評価を受けている理由の一つに、80年代初頭に始まった環境教育があげられている。あれから20年、学生らが今や社会の中堅として、抵抗なく環境問題に取り組んでいるというのである。
 県独自のごみ政策の意義と方針について、県民を対象とする講習会などを担当する環境指導員を配置し、啓蒙を徹底することは当然のこととして、学校現場で環境教育、総合的学習にごみ問題を積極的に取り上げ、ごみを教材とした「環境と資源」の重要性を、地域往民と学校教職員が協力して取り組むことが必要である。

(3) ブロック単位の処理計画へ見直すべきである
 循環型社会づくりと対立関係にあり、また、ごみの他地区処理によって今以上にごみへの関心を希薄にさせ、リサイクル意識を育てない大型焼却施設計画は立ち止まるべきである。先決すべきは減量化の年次計画であって、大型炉が稼動してからでは減量化は無意味になる。その上、建設時だけでなく稼動後も焼却炉産業に税金を注ぎ込むしくみの計画になっていることに気付くべきである。
 ダイオキシン対策のためと言うなら、発生源対策として塩化ビニール類を完全分別することや(神奈川県大磯町・埼玉県久喜宮代事務組合)、新しい技術の開発で大型炉でなくても排出基準がクリアされている例(日南市)も大いに参考になる。
 言うまでもなく、廃棄物処理法では「一般廃棄物処理は市町村の責任」と明記されている。県内3カ所という無理を重ねる広域化でなく、市町村の責任を明確にした、無理のない「ごみ対策協議会」((1)延岡・西臼杵(2)日向・入郷(3)西都・児湯(4)官崎・東諸(5)西諸(6)都城・北諸(7)日南・串間の7ブロツク)単位のごみ処理が望ましいと考えている。

おわりに

 ごみ処理広域化計画検討会として、10月発足以来、視察やヒアリングを精力的に実施してきたが、なにぶんにも短期間であったために、焼却施設の機種比較、財政負担、運営主体など十分な検討ができたとは考えていない。ただ、県側の施設整備計画の進捗状況やグループ・ブロツクにおける検討、協議の遅れを考えると、拙速のそしりを承知の上で検討結果の公表に踏み切ることにした。
 意のあるところを十分お汲み取りいただき、「循環型経済社会づくり」ヘ向かう大転換期に、県民生活に童大な影響を及ぼす廃棄物政策づくりのために、後世に悔いを残さないよう本冊子をご活用下さることをお願いし結語としたい。


2.宮崎県ごみ処理広域化計画の概要

平成11年6月25日
環境対策推進課

1 総論
(1)計画策定の趣旨
 ダイオキシン削減等の高度な環境保全対策の実施、リサイクルの推進、最終処分場の確保、さらには公共事業のコスト縮減という、市町村のごみ処理に係る諸課題に対し、本県の各地域の実状に応じた適正なごみ処理を推進することを目的として、本計画を策定するものです。
(2)計画の位置づけ
 本計画は、各市町村での検討成果等をもとに、ごみ処理の広域化を進める上で必要となる市町村の範囲(ブロック・グルーブ)及ぴ施設整備計画等の基本的事項について、指針として示すものです。
 今後は、本計画に基づき、市町村と県が連携して、住民、事業者の理解と協力を得ながら、ごみ処理の広域化を推進していきます。
 なお、今後の廃棄物処理技術の進展等により、随時必要な見直しを行うものとします。
(3)計画策定の方法
 検討組織として、県が「官崎県ごみ処理広域化検討会」を、市町村が各ブロックごとに市町村ブロック会議(7)を設置し、それぞれの役割分担により検討を行ってきました。
 官崎県ごみ処理広域化検討会…ブロック区割りとその調整・ごみ、ダイオキシン類の将来排出量の推計・計画全体のとりまとめ等
 市町村ブロック会議(7)…・施設整備計画、広域処理体制が整うまでの過渡期のごみ処理方法等

2 広域体制の整備
(1)計画期間
 平成10年度から概ね15年間とします。
 (既存の一般廃棄物処理施設の耐用年数等を考慮し、最終的に広域処理体制が整うまでの期間として設定しています。)
(2)ブロック区割り
 本計缶におけるブロックの区割りは、下記の点について配慮し、7ブロック・3グループとし、一部鹿児島県(財部町:都城北諸ブロック)を含むものとします。
 ア現在のごみ処理における連携状況(一部事務組合の構成状況、委託協力関係等)
 イ地理的一体性
 ウ市町村の意向
 工経済性
 オ可燃ごみの処理について、概ね300トン/日程度の施設整備が可能となること
  ・県北グルーブ(15市町村)
  延岡・西臼杵ブロック:延岡市、北方町、北川町、北浦町、高千穂町、五ケ瀬町、日之影町
  日向・入郷ブロック :日向市、門川町、東郷町、南郷村、西郷村、北郷村、諸塚村、椎葉村
  ・県央グルーブ(14市町村)
  宮崎・東諸ブロック :宮崎市、佐土原町、国富町、綾町、清武町、田野町、高岡町
  西都・児湯ブロック :西都市、高鍋町、新富町、木城町、川南町、都農町、西米良村
  ・県南グルーブ(16市町村)
  都城・北諸ブロック :都城市、三股町、山之口町、高城町、山田町、高崎町、財部町(鹿児島県)
  西諸ブロック    :小林市、えぴの市、高原町、野尻町、須木村
  日南・串間ブロック :日南市、串間市、北郷町、南郷町
(3)施設整備計画
 施設整備(焼却施設、リサイクル施設、最終処分場)については、環境保全及ぴ 経費節減の観点からブロック内で極力集約化することを基本としていますが、特に、焼却施設については、さらに以下の考え方を付け加えています。
 ※焼却施設についての整備の考え方
 規模 :概ね300トン/日程度(3施設+4中継施設)
 方式 :灰溶融+焼却又はガス化溶融(焼却灰等のスラグ化)
 その他:サーマルリサイクルの推進を図るため、併せて、発電等の施設・設備を整備する。
 ※なお、各ブロックの具体的な整備計画は別紙(4頁以降)のとおりです。
3 広域化の効果
 広域化することで、次のような効果が見込まれます。
 (1)ダイオキシン類の削減効果
 (2)リサイクル効果
 (3)サーマルリサイクル効果
 (4)経費節減効果
4 今後の推進方策
 今後、広域化を具体的に進めるに当たり、各市町村ブロック会議を中心に、適正な費用負担、運営方式、処理方法、分別の統一化など、広域化の具体的な実施に向けて協議していくものとします。
 また、ごみ処理の広域化を円滑に進めるためには、住民・事業者、市町村及ぴ県がそれぞれの役割分担により、相互協力のもと積極的に取り組んでいく必要があります。
(1)住民の役割
 ・ ライフスタイルを見直し、ごみの排出抑制に努める。
 ・集団回収や資源回収に積極的に参加・協カするとともに、再生品の使用等に努める。
 ・市町村のごみ処理施策を理解し、これに積極的に協力する。
(2)喜業者の役割
 ・事業活動に伴って生じたごみを、事業者の責任において適正に処理する。
 ・流通過程における過剰包装を抑制し、簡易包装を推進する。
 ・製品の廃棄処理や再生が容易となる素材の使用等に努める。
 ・市町村のごみ処理施策を理解し、これに積極的に協カする。
(3)市町村の役割
 ・各ブロックを基礎的単位として、市町村間の協力により、広域化を具体的に推進する。
 ・周辺市町村は、施設設置の地元となる自治体の負担軽減に配慮する。
 ・資源回収の徹底や集団回収への支援など、ごみの排出抑制、リサイクルの推進に努める。
 ・住民や事業者に積極的に情報を提供し、意識啓発に努める。
 ・必要に応じ、一般廃棄物処理基本計画や条例等の見直しを行う。
(4)県の役割
 ・情報提供及ぴ市町村間の調整に努める。
 ・市町村に対し、技術的援助等を積極的に行う。
 ・県民や事業者に対して、ごみの減量化やリサイクルについての啓発を行う。


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